パトがセンセーショナルなデビューを飾ったのが1ヶ月前だった。
そして今度は、パロスキが勝るとも劣らないデビューを飾った。まったく、驚いた。
まだ高校3年生の若者がピッチに登場すると18秒でゴールを奪ったのだ。
セードルフからの裏へのボールへ抜け出すと、ダイレクトでボールの落ちぎわを叩き、ジャストミートしたシュートは、左サイドネットに突き刺さった。
パロスキは、高いシュート技術、PA内での落ち着き。ストライカーに必要な能力を18才にしてきっちりと備えていた。
そして、デビュー戦でゴールを決め、それが決勝点になる幸運。大物の予感をぷんぷん漂わせてくれた。
「今日のパロスキがやったことは、誰にでもできることじゃない。デビュー戦でピッチに出て18秒後にゴールなんて、信じられないよ。彼のことはとても幸せに思っている。運命のようなものだったんだよ。彼は非常に素晴らしい決定力を持っている。選手たちはベンチでも試合の緊張感を感じているし、正しいスピリットで試合に出て、ゲームの流れを変えてくるんだ」
とアンチェロッティは惜しみない評価を送り、チームメイトもそれに続いている。
だが、「本当にすごい感動でまだ現実のこととは思えないよ」とパロスキが振り返るこの日を、本当の意味で現実のものにするためには、これからこそが大事。
目標と話すインザーギのストイックな姿勢を見習って、どんどんステップを上がっていてほしい。
彼にとっては、忘れられない一戦になっただろう。
だが、オレにとって忘れられない一戦になるかといえば、今後のパロスキ次第ということになる。
7才からミランでプレーしてきたこの男をずっと応援できることになれば、そんな素晴らしいことはない。
さて、18才の若者にミランは救われたわけだが、戦前の予想通り苦戦した。
カカとパトが負傷で戦線を離れ、ジラルディーノは出場停止。ピッポとロナウドが戻ってきてくれて一応形にはなったが、コンディション面の不安は拭えない。相手のシエナは、前節ローマを3-0で勝利し昇り調子だ。
簡単に苦戦の予想が立てられる。
ヤンクロフスキ、セルジーニョが久しぶりに出場し、カフーもスタメン。
アンチェロッティは中盤の4枚をフラットに並べる布陣で、この難を乗り切ろうとした。
前半はうまくいっていたと言っていいだろう。
ピッポが不安を吹き飛ばしてくれる”らしさ”を見せてくれて、6分にいきなり決定機を迎えると、ディフェンスラインと駆け引きを繰り返し続け、攻撃をリードしてくれた。
オフサイドの判定に異議を唱えるピッポの姿を見ることができるのはうれしい。
左サイドのヤンクロフスキとセルジーニョは、なかなかのコンビネーションを見せて、いつもとは違う攻撃の形を披露してくれた。
そして、ピルロのパスの好手であるカフーとピッポがいることで、ピルロのパスにアイデアがあった。
ディフェンスラインも、カラーゼは休みとなったが、ネスタがいれば問題ない。マルディーニが中央でプレーするのを見るのも楽しいもんだ。
いつもとはちょっと違い、それでもなかなかに機能しているミランを見ているのは楽しかった。
だが、ゴールは少し遠かった。
ロナウドの動きが重く、ボールに触る回数が少なすぎる。らしさは見せるものの、コンディション不良は明らかで、まだ話にならないプレー振りだった。
アンチェロッティは後半、ロナウドに代えてセードルフ。ネスタに代えてボネーラを投入する。
ネスタには休みが必要だし、ロナウドには期待できない。まあ、理解できる采配だった。
だが、セードルフが入ったことでピッポが孤立し、ボネーラを徹底的に狙われてミランはリズムを失った。
ピッポ、セルジーニョ、ヤンクロフスキは、90分戦う身体がまだできていなかった。
そこで63分にパロスキの投入された。そして、ミランが先制した。
苦しかった時間、先行きが怪しくなったこのゲームを、若者の一撃が救ってくれた。
そしてミランは、試合巧者らしく、カラッチのスパーセーブもあり、見事に逃げ切った。
スタメン出場した選手の意地と連勝している勢いが、運を引き寄せてくれたのだろう。
貴重な勝ち点をものにした。
これで4連勝。カカがいなくても勝った。
若手の活躍を見るのは気分のいいもんだし、なおかつ勝った。言うことはない。
そして、カラッチだ。
「終了直前のセーブで今日も2ポイント、フィオレンティーナ戦でも2ポイントを我々にプレゼントしてくれた。彼に感謝しなければならない」(ガリアーニ)。
カラッチにはオレも感謝感謝。カラッチに対する信頼感も膨らんできたし、これでジーダも奮起しないわけにはいくまい。
ゴールの番人がいいパフォーマンスを披露してくれると、やっぱり勝ち点に大きく影響してくる。
つくづく重要なポジションだと思う。
最終ラインが安定し、前線はカカではないヒーローが生まれている。
ようやく、ミランはいいサイクルに入ることができた。
フィオレンティーナも引き分けたし、流れが徐々にミランに傾きかけている。
これを続けて、強大な流れにしたいところだ。
水曜日には最後の延期ゲームが行われる。
リボルノに勝てば、目標の4位にたどり着ける。
ジラも復帰するだろう。おそらくやってくれるだろう。
勝利を続けて、戻ってくるカカとパトとガットゥーゾを迎えて、アーセナル戦を迎えたい。
これからはシーズン収穫の一番大事な時期に入る。
ケガ人も復帰し始めたし、昇り調子でこの時期を迎えられるのはいいことだ。
昨季のように、たくさん収穫してやろうじゃないか。