5月23日アテネまで辿り着き、リバプールに2年前の雪辱を果たしてマルディーニがビックイヤーを掲げた。
まさにこれ以上ない理想的な結末を迎えることができたミラン。
だが、苦難に満ち、そしてCLにいたっては幸運にも支えられた道のりだった。
そのCLビックイヤーへの道をたどってみようと思う。
それはそれは、忘れられない素晴らしい物語だった。
主演はカカ。そして、インザーギがいい味を出し、マルディーニがしめた。
ただこの物語の一番の深みは、アンチェロッティが見事な手綱捌きを見せたことだろう。
ミランがCLにもっともふさわしく、必要なチームであることは過去の結果が示している。
ただ、カルチョスキャンダルの影響で当初は出場さえ危ぶまれた。
恩赦があり予備予選からの出場が叶ったことは、まず1つ目の幸運といえるかもしれない。
ただ、W杯を最後まで戦った選手たちが多く、カップを掲げたことが救いではあったが、準備期間が不十分だったのは痛かった。
オフの騒動のせいでメルカートにも遅れをとったことも響いた。
だが、予備予選3回戦ツルベナ・ズベズタ戦、ピッポに神が降りていてくれて助かった。
CL本戦への扉はピッポが開いてくれたんだ。あの時のピッポは誰にも止められなかっただろう。
今シーズンのCLを語る上で、この2戦は絶対無視することはできない。
グループリーグ抽選会。
信じられないほどの幸運がミランに舞い降りてきた。
ここ最近、ミランはいわゆる死のグループにぶち込まれたことはないが、今シーズンは特に素晴らしすぎた。
AEKアテネ、リール、アンデルレヒト。う~んこれ以上のベストチョイスはないだろう。
チェルシー、バルセロナ、ブレーメンが同居していたグループもあったというのに。
運も実力の内である。くじ引きも戦いの1つだし、くじ引きがCLの魅力の1つだと思う。
でもこのあたりは、ベルルスコーニの偉大さをなんだか感じてしまう。
グループリーグのトピックスといえば、まずグルキュフがデビューした1節のAEKアテネ戦。
グルキュフのあまりにも鮮烈なデビューに、ほんと心を躍らされた。
まあ、その後に多少だが、落胆を味合わせる結果となってしまったけど。
そして、4節アンデルレヒト戦のカカのハットトリック。カカ覚醒の序章だったといえる。
このゲームはダービーで屈辱にまみれた後だっただけに、ほんとに大きな1勝だった。
その後は酷いもんだったけど、連敗しながら1位通過させていただけた。
ほんと、感謝感謝だよ。
さて、1位通過を決めたミランだが、ここでまた抽選。
PSVかセルティック。これがベストだと思ってた。ただPSVとは昨シーズンにもやったし、苦戦させられた。
セルティックがベストな中、そのセルティックを引き当てたんだから。ミランの実力はすごい。
だが、予想に反してセルティック戦は苦しんだね。
FW不足は今に始まったことではなかったが、あまりにもリアルな現実だった。
ただ、この2戦が今季ミランの栄光への転機になったと思う。
アンチェロッティは1トップを選択し、ピルロの脇をアンブロジーニとガットゥーゾで固めた。そして、カカをよりトップに近い位置に、セードルフの守備の負担も減らしてあげた。
このフォーメーションは、苦肉の策でもあり偶然の産物でもあったが、とてつもなく機能することになる。これが最大のラッキーだったかもしれない。
まず、カカをより前線でプレーさせることを納得させたことが大きい。
いつも2トップ下でプレーしたいと言い続けていたカカにゴールをより求め、その味をカカがこのセルティック戦で知ることができた。
カカのもっとも得意とするカウンターで攻めるという意識を強めたことで、よりカカが生きることになった。
そして、ピルロが自由を得ることができたことで、チームに躍動感が生まれた。
セードルフも真ん中でプレーすることで、ゴールにつながる結果を出してくれるようになった。
本当に俊輔のFKには肝を冷やされたし、危なっかしい勝利だったが、たくさんの物を得ることができたゲームになったわけだ。
つづくベスト8。
ここでもミランの(くじ引きの)実力は発揮される。
対バイエルン・ミュンヘン。相性抜群だし戦力計算も申し分ない。
なのに、これまた苦しんだね~
自らいばらの道に突っ込んでいった。
ピルロのヘディングシュートが決まるというこれまた幸運。どんどんストライカーへと変貌を遂げるカカのゴールで2度リードしながらも、なんてことない失点でアウェイゴールを2つ与えて、ミュンヘンへ行かなくてはならなくなった。
ただ、大きな失望を抱いたが負ける気はしなかった。内容は素晴らしかったから。
2nd.legは、完璧な出来だった。
セードルフのスペクタクル。待ってましたピッポの復活ゴール。ネスタの世界最高のパフォーマンス。
バイエルンは相手ではなく、ユナイテッドとの準決勝に駒を進めることができた。
オレはこの時点ですでにミランは勝者になったと思う。
オレの中では、この夢の対戦を実現してくれただけでもありがたかった。
もちろん負けてもいい、とは思わなかったが、それ以上にこういうビックマッチを応援しているチームが勝ち残ってくれていることが誇らしかった。
さあ、ここからはカカ伝説の本章だ。
1st.leg、ローマを蹴散らしたユナイテッドは勢いそのままにロナウドが5分に先制ゴールを叩き込むも、カカが圧倒的な個の力を見せ2ゴールを奪い返す。
どっちが偉大か?その決着は2nd.legで示されただろう。
ただ、1st.legは不運もあり、やられてしまった。
ガットゥーゾとマルディーニを失い、ロスタイムにルーニーに逆転弾を叩き込まれた。
またもや、いばらの道を自ら歩む結果に。
でも、ミランは本当に強かった。
オレの中で、マンチェスターと戦ったサンシーロでの2nd.legは、これまでのミランの中でベストゲームだと思っている。
豪雨の中、ピッチに登場したミランの選手たちの、とてもたくましく頼もしい表情は忘れられない。
「前半に我々がやったようなプレーを、自ら率いるチームが見せたとすれば、監督としては夢のようなことだろう」アンチェロッティ
オレもそう思った。
こんなに素晴らしいサッカーを、今シーズンのベストチームとも言えるユナイテッド相手に見せてくれたのだから、これ以上誇らしいことはない。
カカは世界ベストプレーヤーであることを証明し、オレの今シーズン最大のお気に入りジラもゴールを奪った。
まさに夢のような一夜を過ごさせていただいた。
アテネまで夢ではなく現実に辿りつくとはな~
もう負ける気はしなかったね。
そして、今回は実力どおりにしっかり勝ってくれた。
マルディーニがカップを掲げる姿を見て、感極まったよ。
あの瞬間ほど幸福は瞬間がこの世にあるのだろうか?
ほんとこの物語はできすぎだ。
ハッピーエンドは1チームしか迎えることはできない。それが今シーズンはミランだったわけ。
ミラニスタは本当に幸せ者だよ。オレはミラニスタやってて間違っていなかったと確信したよ。
この物語、最大の功労者は、最初に書いたがオレはアンチェロッティだと思う。
もちろんカカなしには何もできなかった。ネスタとアンブロジーニの復帰も必要不可欠だったし、ピッポに神も降りてきてくれた。
ただ、アンチェロッティが結束あるグループを作ったことが一番の勝因だと思う。
ベテラン選手に、文句を言わさず気持ちよくプレーさせることができるのが、アンチェロッティの最大の能力だろう。
それが今シーズンは見事に結実した。
彼に勝者は似合わないが、これから積み上げてさまになるようになってくれることを願っている。
ビックイヤー獲得という信じられない結末が飛び込んできて、今シーズンは忘れることはできない素晴らしいシーズンになった。
ありがとうカカ。おめでとうマルディーニ。感謝の言葉をどれだけ言っても足りない。ありがとうございます。
アンチェロッティにもお礼を言おう、これからもがんばれ。
では来シーズン、12月に日本で逢えることを本当に楽しみにしているよ。
ビックイヤーをとったチームに、誰が加わるんですか、ガリアーニ?