セリエAの一年を振り返る、という作業をしようと思うが、あまり気が進まない。
わざわざ時計の針を戻し、ミランがあまりにも苦しんだ前半戦を振り返るなんてマゾ的行為、無理にしなくてもいいのではないかとも思う。
だがあそこまで苦しんだからこそ、後のビックイヤー獲得につながったのだと思うし、うれしさが数倍にも膨らんだのだとも思う。
だから、極力愚痴を少なくしていこう、明るくポジティブに振り返ってみようと思う。
でも、これがまた大変難しい。
カルチョスキャンダルによるユーヴェのセリエA降格。マイナスポイントを受けてミランも含め数チームがシーズンをスタートするという、一大事件に見舞われた06年の夏。
思い返せば、ミランがセリエAでプレーできること、そしてCL予備予選出場が許可されたことを、あの頃は非常に喜んでいた。
そして、メルカートでも事件が起きた。僕にとってはこっちの方が大きな喪失感を味あわされたのだが、シェバがミランを去った。
まったくいい事がなかった夏。カカ残留だけが朗報だったわけだ。
まあこれが一番大事なことだったわけだけど。
結局、カンピオナートだけを見れば、もう夏で勝敗は決まっていたということだろう。
インテルはスキャンダルに影響されえることもなく、ましてやプラスの影響さえ受けた。
ズラタンとヴィエラをユーヴェからかすめとり、マイコンというスペシャルカードを引き当てた。
ローマは資金で、ミランはスキャンダルで遅れをとり、ユーヴェはいなくなった。
スクデットの行方はもう決まっていたということだろう。
シーズン序盤、実はミランは好スタートを切ったんだ。
思い返せば、ピッポが何かに取り付かれたようにゴールを奪い続け、3連勝スタート。
あの時期は、オレも浮かれていたよ。ほんと僅かの間だったけどね。
ジラルディーノがゴール欠乏症に陥り、それがチーム全体に蔓延した。
そして、ケガ人が相次ぎはじめ、アンチェロッティの限界を、オレは叫ぶしかなかった。
あっという間のだったからね。
そして、9節ダービー。
前半ぼこぼこに殴られ、後半に火がついて反撃に転じたが届かず、敗戦を味あわされた。
かなり屈辱だったよ。いいゲームではあったんだけど、忘れられないゲームだよ。
そして、10節ではローマにも破れ3連敗。
サンシーロで19年ぶりにローマに勝利を持ち帰られてしまった。
ほんと、この時期は真っ暗だったね。前が見えなかった。
このダービーがカンピオナートの転機だったと思う。
負けた方の監督がチームを去る。なんて言われていて、勝ったマンチーニはその後破竹の17連勝を飾った。
まあ、本当にインテルは強かったよ。
セリエA自体の地盤沈下も感じたが、インテルの個の強さを全面に生かしたサッカーは、スペクタクルではなかったと思うが、相手をねじ伏せる強さはあった。
ズラタン、スタンコビッチ、マテラッツィらのパフォーマンスも、他のチームの選手を凌駕していた。
マンチーニのチームは、勝つことを最優先に一致団結し、結果を残すことでチームへとなっていった。
現実主義すぎてオレは楽しめなかったが、あそこまで勝ち続ければ賞賛するしかないよ。
ただ、ゲームの内容で競うなら断トツでローマだ。
スパレッティのトッティ1トップシステムは円熟味を増しに増し、どんどん選手が沸いて出てくる攻撃は、まさにスペクタクルそのもの。
ローマのサッカーには魅了されたし、ヨーロッパの中でも屈指の面白いゲームを展開してくれていた。
トッティが輝きを取り戻した、というか、最高の輝きを見せてくれていたから。
オレもセリエAファンとしてうれしかったし、久しぶりに勝敗を度外視して、ミラン以外のチームのゲームを見たいと思ったよ。
そして、前半戦台風の目となってくれたのがパレルモだった。
アマウーリがけがで離脱するまで、力強く殴り勝てるチームだった。
ミランも負けたし・・・ほんといいサッカーしてたよ。
あと、カターニャやエンポリなどの奮闘も目立ったね。
ミランが暗い暗い谷底に落ちていた間、セリエA自体はインテルの独壇場となり興味が薄れていったけど、いいチームが今シーズンは多かったと思う。
フィオレンティーナやレッジーナなどのマイナスポイント組も、それを補う勝ち点を積み重ねていった。
少し見方の変わった異例なセリエAになったが、チームの戦力が拮抗し、面白い中位から下位争いになったと思う。
さて、ミランの話に戻るが、前半戦の混迷の原因を挙げるなら、まずコンディションの問題が挙げられる。
W杯後、バカンスもほとんどなくCL予備予選を戦う羽目になったことが響いた。
ネスタの離脱とピルロの冬眠はかなりダメージを与えてくれたよ。
ガットゥーゾもおとなしかったからね。
そして、シェバの穴。
インザーギはなぜかゴールに嫌われてしまうし、オリヴェイラはまったく使い物にならないし、ジラルディーノは病にかかりなかなか立ち直れなかった。
結局、冬のメルカ-トでロナウドがやってきて一気にチームが好転し始めたように、ストライカーの不調は度を越していたよ。
カカにすべての負担がかかっていたし、その負担をカカは背負いきれていなかった。
クリスマス休暇が訪れた時、何が何でも補強は必要であり、アンチェロッティのラストシーズンになることは間違いないだろうと、誰もが思ったはずだ。
ミランの1つのサイクルの終焉を、感じずにはいられなかったんだ。
そう、あの頃は夢を見させてさえくれなかったミランが、終わってみれば欧州一だ。
12月までのミランの順位をつけるなら、間違いなく20位以下だろう。
一体何が変わり好転し始めたのか、次回書こうと思う。
次回は楽しくなりそうだ。歓喜への道のりだからね。
それにしても、その道のりは険しいものだったね~