大苦戦。想像していた展開よりも、ミランはリヨンに苦しめられた。勝敗を決めたのは、大舞台での経験、勝利への執念、運だったと思う。戦力や戦術では、全く互角か、このゲームではリヨンの方が上だったかもしれない。
そして、ミランには、インザーギというストライカーがいて、リヨンにはいなかった。
サンシーロの素晴らしい雰囲気。監督と選手たち、そして、ミランの勝利を信じて疑ってはいないサポーターたちも、リヨンの強さを認め、好ゲームになることは必至。
両チームの首脳陣、そして、これからプレーする世界トップクラスの選手たちの緊張した表情は、世界最高峰のビックマッチであること感じさせる。
スタジアム全体の空気が、このゲームの持つ意味の大きさ語っている。
前半立ち上がりは互角の展開。セルジーニョがいい攻め上がりを見せて、好機を演出するが、不安定なディフェンスラインは、ミスからあわやという場面をリヨンに与えてしまう。
ジュニーニョのFKは、恐ろしいほどの切れ味で、ファウルをすることは、失点の可能性がいつもの倍以上大きくなる、という脅威をミランの選手たちは感じたはずだ。
先制したのはミラン。セードルフのクロスに対して、リヨンディフェンスはインザーギをフリーにしてしまった。インザーギがこのチャンスを逃すはずはなく、クペはどうすることもできなかった。
しかし、リヨンは、やはりジュニーニョのFKから同点に追いつく。このゲームでの彼のFKによる1失点は、覚悟しなければいけなかった。
前半を1-1で終え、迎えた後半。ミランはゴールを奪はないといけないのだが、逆にペースを握り攻勢を仕掛けるのはリヨン。カカ、シェフチェンコはスペース与えられず、押さえ込まれている。
アンチェロッティは大きな決断を下す。71分、ピルロに替えて、アンブロジーニを投入。中盤で主導権を奪うよりも、ゴール前での勝負に出た。
アンチェロッティのこの采配は、3年前のアヤックス戦、そして昨シーズンのPSV戦での決勝ゴールのような活躍を期待してのものだっただろう。アンブロジーニは見事に期待に応えた。
リヨンの前に苦しみ、88分が経過した。マルディーニが前線に送ったボールをアンブロジーニが競り、フリーになったシェフチェンコの前にこぼれる。シェフシェンコの放ったシュートはクペが反応し、左ポストへ、そして右ポストに当たり、詰めたのはやはりインザーギ。
サンシーロは歓喜で大爆発。敗戦がすぐそこまで迫っていただけに、選手、監督も興奮を抑えられない。素晴らしいドラマがまた生まれた。いや、繰り返されたともいえるかもしれない。
3年前と同じようなゴールシーン。あのゲームでは、アンブロジーニが競ったこぼれをインザーギがシュートし、トマソンが押し込んだ。共にゲーム終了間際での勝ち越しゴール。
勝ったミランは、サンシーロ全体が、優勝したかのような大喜び。ガッリアーニ、アンチェロッティ、選手全員が抱き合い、この苦しかったゲームの勝利をたたえあっている。
負けたリヨンは、リヨン史上最強といわれ、フランス全体の大きな期待を背負いながらも、またもベスト4には届かなかった。しかし、この素晴らしいチームは、もっと自信を持ち、こらからもヨーロッパのトップクラブであり続けて欲しいと思う。
歴史あるクラブ。数々の大舞台を経験して、それを乗り越え栄光を掴んできたクラブ。ミランとリヨンの差は、紙一重だったかもしれないが、クラブ全体の底力というものは、ミランが上回っていたのは間違いない。
インザーギは大きな仕事をし、ミランを勝利に導いてくれた。彼のこの大舞台での勝負強さは、今までもたくさんの勝利と歓喜を僕らに届けてくれた。そして、このゲームでも最高の形でそれは届けられた。彼の持つスター性は、彼独特のものだ。インザーギがピッチにいる限り、サポーターは希望を捨てる必要はない。
ベスト4進出。パリまでの壁をまたひとつ突破した。だが、次の壁は、今世界最高といわれるものになるはずだ。ひとつのプレーで勝敗が決まってしまう、緊迫したゲームになるはずだ。
でも、ミランには、インザーギがいる。シェフチェンコもカカもいる。どんな壁でさえ突破してくれるはずだ。今シーズンこそ頂点へたどり着けるはずだ。