鳥栖にとっては非常につらい試合になった。
「今の力はスコア通り」と試合後に話した岸野監督の言葉は、偽らざる本音だろう。
後半の祭りは、昇格を目指す鳥栖に厳しい現実を突きつけた。
一誠をボランチに、森脇を右サイドに配した前半の広島は、あまり良くなかった。
全体的に運動量が少ないためテンポよくパスがつながらず、鳥栖にポゼッションを許す時間も多く、「いつもの広島」とは程遠い出来だった。
だが後半、一誠と陽介が退き青山と楽山が入ったことで、広島はいつもの姿に戻る。
ペトロヴィッチ監督が「3人分の運動量がある」と称える青山がピッチに立ったことで、前半とは見違えるチームになったのだ。
一誠には残酷だが、青山との差が如実に表れたとしかいうしかない。
55分に森脇が復活を高らかに宣言する先制点をCKからもぎ取ると、浩司が立て続けに得点を奪い、あっという間に試合を決めた。
鳥栖は、ペースを握っていた前半に先制できなかったことが大きく響き、先制されると立ち向かう術をなくしてしまい、砕け散った。
その後は、67分にルーキー清水がピッチに立つと、4分後に寿人のワンツーから鮮烈なデビュー戦ゴールを飾り、寿人がとりを務めてゴールショーは幕を降ろした。
広島の強さがこのゲームでもしっかりと証明された試合だった。
この敗戦で、鳥栖の昇格は風前の灯となった。残酷な点差と内容であったことも、その印象を強める。
だが、これでよかったのだと思う。
広島は来季J1を戦う。J1の力を今しっかりと感じることができ、完膚なきまでに打ちのめされたのだから、鳥栖にはまだJ1ははやいということを示しているのではないか。
この悔しさを糧に、来季こそ頑張ってもらいたい。
広島にとって今節は収穫の多い一戦だった。
ルーキー清水が奪ったデビュー戦ゴールは、今後さらなる飛躍へと導いてくれるだろう。
また若き才能が広島に台頭してきた。これからが非常に楽しみだ。
森脇良太の復活もとても大きい。
指揮官は常々森脇の負傷離脱を悔やんでいた。ディフェンダーとしてのプレーぶりはもちろん、森脇の積極的な姿勢やパーソナリティをペトロヴィッチ監督は非常に高く評価していたのだ。
その森脇が復活してくれたことは、次週に控える天皇杯、そして来季への大きなプラス材料になる。
苦しい時期を乗り越えて祭りの主役となった森脇と清水には、「おめでとう」といいたい。
4試合を残して勝ち点は90の大台に乗り、勝ち点100も現実的な数字として見えてきた。得点100も可能性のない数字ではない。
最後までしっかりと戦い抜き、勲章を1つでも多く携えてJ1に殴りこみたいところだ。
過去を振り返る時に、J2最強のチームは広島であったと言われるのは、気持ちの悪いことではない。
さて、次週は天皇杯だ。久しぶりのJ1との対戦はとても興味をそそられる。
相手となる東京Vは残留争いの真っ只中におり、どんなモチベーションで戦ってくるかはわからないが、そんなことを有無も言わせないほど叩きのめしてもらいたい。
今のこの強さがフロックではない確証が、どうしてもほしいと思っているのは僕だけではないはずだ。
東京Vを叩けないようでは、来季は苦しいということでもある。
必ず勝って、元旦へ駒を1つ進めてもらいたい。
2年連続であそこへ行くのも悪くないよ。
今年はさまざまなところをドサ回りしてきたのだから、最後にひのき舞台に上がるご褒美があってもいいだろう?