『優勝』いい響きだ。
J2という文字が付いてくるわけだが、それは無視すればいい。
ゼロックスと合わせて2冠となった今季は、パーフェクトなシーズンだった。
今後は天皇杯をじっくりと楽しみたいと思う。
優勝後にペトロヴィッチ監督は、「この結果を見れば、選手たちを褒めるしかない。我々がやり遂げたことは奇跡のような結果だ」と誇った。
おっしゃるとおりだと思う。
選手ももちろんだが、ペトロヴィッチ監督はこの一年間、素晴らしい仕事をした。
今だからあかせることだが、僕は宮崎キャンプを見て「ペトロヴィッチ監督を一刻も早くやめさせなければ」と思っていた。キャンプはそれほどボロボロに映った。
だが、ゼロックス優勝でその流れは180度変わった。今でもゼロックスのトロフィーがなければ、このシーズンはどうなっていただろうと思う。
大きな大きな転機だった。
そういう意味では、今季久保が果たした役割はでかい。
その後、ペトロヴィッチ監督はとにかく我慢強く、結果にこだわって戦った。
攻撃的な姿勢を打ち出して指針を示し、対話により選手たちの心をつかんで、時にははっぱをかけ、苦しい時だからこそ団結することの大事さをしつこいほど説き、一度も立ち止まることなく乱れることなくシーズンを駆け抜けた。
昨年と比較して、ペトロヴィッチ監督は柔軟になったと思う。
システムにはこだわるし、久保の起用法など難癖をつけたくなる時も多々あるが、選択理由が勝利最優先であったことは間違いない。
選手のモチベーションをうまく保ち、練習から全選手に高いレベルで取り組むことを求めて、選手層を拡大していった。
監督の求める要求の高さに、選手も切磋琢磨してたくましくなっていった。結城や楽山の獲得など、フロントの迅速な動きも効果的だった。
選手起用が柔軟になったのも、選手層が拡大し選択肢が広がったからだと思う。
今年は、去年のように12~13人のグループで戦うのではなく、常に18~20人のグループで戦えた。そして、チームが勝つためにみんなが戦っていた。
ペトロヴィッチ監督は、とてもいいグループを作って歩んでいったと思う。
ペトロヴィッチ監督の個性も、非常に光った。
かなり我慢強い人だ。僕は基本的に我慢強くない人間だから、ちょっと理解できないくらい我慢強い。
そして、オレ流はまげない。
ただ、この我慢強さと信念が究極の絶品を生み出した。
いま、破壊力とエンターテイメント性を兼ね備えてJ2を席巻している1トップ2シャドーは、ペトロヴィッチ監督だからこそ生み出せた一品ではないかと思う。
いつも読んでくれている方ならわかると思うが、僕は「ゴールを奪う本職のFWを起用せよ」と、これでもかと書いてきた。
ただ、ペトロヴィッチ監督は、これでもかと起用しなかった。
龍一や久保を起用していたら、もっと楽に勝てたゲームは少なからずあったと思う。
ただペトロヴィッチ監督は、シュートが入らない、もしくは打たない、洋次郎たちを起用し続けた。
練習でつねにゴールを強く意識させ、シュートが入るようになる日まで、我慢したのだ。
その結果が今に表れている。素晴らしいとしか言いようがない。
ペトロヴィッチ監督の我慢がなければ、洋次郎はここまで台頭していなかっただろう(13点も奪うなんて考えていた人はいるのだろうか)。陽介も、監督の我慢がなければコンディションは上がってこなかったのではないだろうか。
その裏には浩司やカズのチームプレー精神があるのだが、その精神を説いたのも監督なのだ。
ペトロヴィッチ監督が手塩にかけて作り上げた1トップ2シャドーに、僕は魅了されてしまっている。
また、指揮官として「勝負勘」がペトロヴィッチ監督に欠けているところだと、今でも僕は思う。
そして、勝負勘こそがプロの監督に最も必要なものだと思っている。
ただ、他にもさまざまな能力が必要なのだと、ペトロヴィッチ監督が持っている我慢だったり人望だったり、信念へのこだわりや理想が、とても重要な能力なのだと、教えてもらった。
勝負勘に優れた指揮官ならば、目先の1勝を拾ってくれるだろう。ただ、ここまでのサッカーを作り上げることはできなかったと思うし、ここまでの圧勝もなかったのではないか。
正直、「こだわり」という言葉が僕は嫌いで、必要ないものだと、現実を直視してなんぼだと、思っていた。だが、少し変わったような気がする。
今は、ペトロヴィッチ監督の作り上げたチームが、J1でどれだけ通用するのか楽しみでしょうがない。
ペトロヴィッチ監督には、まずお疲れさまと言いたい。
勝たなければ、戻らなければならない、すごい重圧で過ごした難しいシーズンだった。
それをペトロヴィッチ監督は、オレ流を貫き成し遂げた。
本当にすごいことだ。
ただ、願わくばペトロヴィッチ監督には、来季こそもっともっと楽しませてほしい。
来年は今書いたことが嘘のように不満が噴出してくるかもしれない。
でも、ペトロヴィッチ監督の信念は間違っておらず、貫き通す我慢があるのだとわかった。そして、それを信じていったら楽しませてくれるのではないかという期待を、今は持てるようになった。
来年が、ほんと楽しみでしょうがない。