むらさき: 2008年09月 アーカイブ

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2008年09月 アーカイブ

2008年09月08日

J2 34節 vs岐阜
“スナイパー”洋次郎

洋次郎の独壇場だった。
いつもとは違う最前列に位置し、決して得意ではないポストプレーを洋次郎は難なくこなし、すぐに寿人不在の不安を吹き飛ばしてくれた。
そして、2得点2アシストだ。
まずフランサのようなラストパスで浩司のゴールを演出すると、インザーギのようなゴール前の嗅覚を見せ、陽介のシュートの方向を変えて3点目を奪う。
さらには、好きな選手だというリケルメのような見ている人をドキッとさせるパスを送り、ハンジェのゴールをアシスト。しまいには、クロスに飛び込んで4点目を奪った。
7点のうち広島の力で奪った4点は、すべて洋次郎が絡んでいた。


このゲームに限らず、今季の洋次郎は大車輪の活躍を見せてくれている。眠っていたポテンシャルが、ついに、やっと、爆発した。
今の広島のサッカーは面白い。それは洋次郎の演出によるところがかなり大きい。
いまや欠かせない選手になった「高萩洋次郎」とは、いったいどういう選手なのだろう。


身長は182cm。体重は66kg。ひょろっとした体格をしている。
だが、その身体はずば抜けた持久力を持ち、少し身体の線は細いがフィジカルで劣ることはない。
そしてボールを扱わせれば、高い技術を駆使して、広い視野から創造性豊かなパスを繰り出す。
MFとしてのすべての能力を平均点以上兼ね備えた、パサータイプに分類される選手だろう。


パサーにもいろいろなタイプがある。
たとえば、G大阪の遠藤や名波浩らのような受け手にやさしいパスを送り、ラストパスの一歩手前で試合を組み立てるパサーがいる。
そしてもっとゴールに近い位置で、中村俊輔のような高精度のラストパスを届けるパサーや、中田英寿のような敵の間隙つくパサーがいる。
洋次郎は、中田英寿タイプに近いパサーだと思う。
中田英寿よりもゴールまで遠回りすることを好むが、プレーしている時の頭の中は似ているのではないだろうか。
相手と駆け引きをしながら、生じる隙を見逃さないよう目を光らせて、敵を欺き、虚を突く。
洋次郎は「スナイパー」のように神経を尖らせ、一発のパスで局面をがらっと変えてしまうのだ。


ただ、スナイパーとはいってもじっと好機を待っているわけではない。とにかくよく走る。
それもやみくもに走るのではなく、相手が嫌がるスペースを作るフリーランニングだったり、味方を助けるためにスペースを埋める走りだったり、状況を考えて効果的に走る。このあたりも中田英寿に似ていると思う。
そして洋次郎は、受け手としてもレベルの高い動きができる。
もともとボールを持たせたら怖い選手だったが、ボールがない時も気の抜けない選手になった。
これが洋次郎が今季大きく飛躍した要因だと思う。


課題を挙げるとすれば、シュートだ。
シュートを打たずイライラさせられることもあるし、シュートの精度も、針の穴を通すパスを出すくせに、高いとはいえない。
10得点は素晴らしい成績だが、もっともっと取れていたと感じるのは僕だけではないだろう。
本当に怖い選手は、やはりどんなパスを通す選手よりも、ゴールを奪う選手。
ゴールに強欲になることでパスもさらに効く。
今後、もっとプレースタイルを広げていってもらいたいし、独自の形をを築いていってもらい。
洋次郎は、いつか日の丸を背負う日も来るのではないだろうか。
十分可能性を秘めていると思う。


J1復帰まで、いよいよ秒読み段階に入った。
他のチームの結果次第では、36節の横浜FC戦で歓喜の瞬間が来る。
今節の岐阜戦を見ていると、いるべき場所が違うのだと、無駄な一年を過ごしていると、つくづく感じてしまうが、どうせなら圧勝に次ぐ圧勝でこのままシーズンを終えてもらいたい。
山形は、どうしても勝たないといけない相手だ。

2008年09月15日

J2 35節 vs山形
おめでとう、ありがとう、寿人

強い。
広島は今節も4ゴールを奪い、格の違いを見せつけた。
こんなに大量点が続くことは、どんなにレベルの違いがあってもそう起こることではないだが、それほど「強い」というしかないね。
相手のストロングポイントと今の広島を照らし合わせ、どうにか試合の見どころを探り、危ない個所を煽ろうと躍起になっても、今の広島には無駄な作業のようだ。
山形の特徴は、まず堅守。そして長谷川と豊田を擁する強烈な前線。あとは、(特に左サイドの)サイド攻撃の上手さだった。
だがそんなもの、見事に蹴散らした。


山形にとってのこの試合は、ミスから先制点を許し、狙い通りの同点のチャンスをビックセーブで止められ、その直後にセットプレーで突き放された、非常に悔いの残るゲームだと思う。
「もし」や「たら」や「れば」を、限りなく言いたくなるゲームだろう。
だが、僕はそこに広島の強さがあるのだろうと思う。


試合の勝敗を分けるのは、「なんだかんだいってゴール前」これが僕の持論だ。
何10回のチャンスも、ピンチも、サッカーでは時にまったく無意味。
逆に、チャンスは相手を奮い立たせ、ピンチは味方の栄養になることもある。
中盤の選手が走り回って試合を有利に進めても、サイドの選手が主導権を取り局面で勝っても、ゴールが、ゴール前がもたらす試合への影響力は、追随を許すものはないんだ。


この試合、寿人はチームの流れがよくないなかで、ワンチャンスをゴールに結びつけた。GK清水はボールに触れはしたものの、枠の外にははじき出すことはできなかった。
逆に山形のストライカー長谷川は、チームが作り出した絶好のチャンスを、昭大に阻まれ、決められなかった。
些細な差と言えばそうだろう。運不運と言ってしまえばそれまでだ。
だが、勝負はここで決まってしまうんだよね。
山形が広島より優れている部分は少なからずあったと思う。
だが、ゴール前の役者が明らかに違った。
この違いが、広島の持つ圧倒的強さの一番理由だと、僕は強く感じた。


佐藤寿人は、やっぱり特別。スペシャルなんだよ。
今節のゴールでJ1・J2通算100得点を達成。
この記録は、J2で奪ったゴールが41と多いのを本人は気にしていたけど、それにしても胸を張っていいすごい数字だと思う。まだ26歳なんだから。
カズ、ゴン、城、森島(C大阪)、藤田(名古屋)の5人しか日本人では達成しておらず、外国人も5人しか達成していない。胸を張ってもらいたい。


寿人は、まだこれからどんどんゴールを積み上げていってくれるはずだ。
広島では67得点。現在トップの久保の70得点も(なんだか抜いてほしくない気もするが)寿人が追い抜きトップに立つ日は遠くないだろう。
寿人がむらさきのユニフォームを着てゴールを奪っていく。それが記録として残っていく。その1つ1つを、広島のサポーターはともに喜ぶことができるんだ。これは広島のサポーターにとって素晴らしいことではないだろうか。
俺らには寿人がいる。なんとも誇らしい。
「おめでとう」寿人。そして、広島にいてくれて「ありがとう」。


もうJ1復帰はすぐそこだ。
負ける気がまったくしないから、C大阪戦では絶対決まるし、湘南や山形につまづいてもらって、ホーム・愛媛戦で決められたら最高だ。
みんな、どうやって喜ぶかをそろそろ本気で考えておこう。
あの悔しさを、晴らす時が来るんだ。

2008年09月21日

J2 36節 vs横浜FC
祭りのあと

4試合続けて大量点を重ねて見事なラストスパートを見せていた広島だが、5試合目でつまづいてしまった。
昇格を目の前にしながら、勢いを削ぐような「祭りのあと」がやってきてしまったのは、残念でならない。
相手も確かによかったとは思うが、何でこんなゲームをしてしまったんだろうか。


やっぱり気の緩みは少なからずあったと思う。
いや、気の緩みもだろうが、むしろ昇格へのプレッシャーが大きかったのかもしれない。
運動量、とくにシャドーの動きが少なく、横浜FCのまぁそこそこのプレスにリズムを狂わされてしまった。
運動量がなければ広島のサッカーが機能不全に陥ることは、監督はもちろん、選手も十分理解している。
だが、それが足りなかった。
疲労の蓄積など体の問題もあるだろうが、走れなかった理由は「気持ち」の問題の方が大きかったと思う。


ただ緩んでいたのは、選手たち現場だけではなく、クラブを取り巻く全員がそうだったと思う。
舐めていたところもあったと思うし、誰もが緊張感に欠けていた。
(僕も間違いなく勝つだろうと、完全に緊張感を失っていた)
そのしっぺ返しが来たのだろう。サッカーはそんなに甘いもんじゃない。
ただ、もう一度みんなが目を覚ます機会になればいい。
昇格は手の中にある。あとはつかみ取るだけだ。
次節愛媛戦での昇格の可能性は残ったわけだし、負けたわけでない。
まず勝つことに集中して全力を傾け、歓喜を待とうではないか。


それにしても、広島の悪いところがこんなに出た試合は、久しぶりだった。
シュートを15本も打たれているとは、正直驚いてしまった。
忘れがちになっていた欠点やウィークポイントを、横浜FCは思い出させてくれたのではないか。


とくに気になったことを挙げてみようと思う。
やはり、サイドで数的不利を作られると厳しい展開になってしまうことだ。
この日、ハンジェの右サイドは完全に横浜FCに主導権を奪われた。
大きく崩されてはいないが、クロスを放り込まれてしまうことで最終ラインが下がってしまい、セカンドボールを相手に拾われて押し込まれる、悪循環の時間帯が長くなってしまった。


3バックの横、サイドMFの後ろのスペースは、このシステムの泣き所でもある。
わかっていたことではあるが、そこを突かれるとどうしても厳しい展開が待ち受けるのだ。
個の技術で上回っても、どうしようもないところでもある。
31節・甲府戦もここを徹底的に突かれ、バランスをズタズタに崩れてしまった。
相手のサイドに強烈な選手がいないから、またはハンジェや公太が攻撃で先手を取っていたから、この問題は表面化してこなかったが、やはり弱点である。
このウィークポイントをどうするのか、来年以降はきっちり答えを出して修正しておかないと、浅くはない傷を負うことになるだろう。


とはいえ、この問題は現状のリーグで、次節の相手愛媛と戦うのには、大きな問題にはならない。
次節の勝敗の分かれ目は、ゴールだろう。
昇格が決まる試合は、やはり1点が重くなる。先制点はもちろん、2点目を奪うにはいつも以上の圧力がかかる。
横浜でも、寿人は1点しか取れなかったし、自信に満ちていた陽介と浩司は仕事をしていないのだ。
この一戦でこそ、ゴールをバンバン叩きこんで、力を存分に証明してもらいたい。


2007年12月8日、入れ替え戦で敗れてから2008年9月23日まで、広島は屈辱の290日間を過ごしてきた。
天皇杯決勝。ゼロックス獲得。J2独走。素晴らしい出来事が霞んで見えた。
ようやく靄を消すことができる日が来たんだ。
もちろん、あの悔しさはJ1復帰なんかで埋まるものではない。
ただ、23日は喜びを爆発させたいと思う。
相手次第でもあるから叶わないかもしれない。大阪で決まることになるかもしれない。
それは仕方ない。
ただ、いやだからこそ、23日は絶対にいいゲームをして勝たないといけない試合だ。
祭りにしないと、絶対にいけない。

2008年09月24日

J2 37節 vs愛媛
広島はJ1だ

試合前日から、僕の気分はいつもと違った。
取材を終えビッグアーチを後にしようとした時、12月8日の記憶が自然と浮かんできた。
槙野のシュートがポストをかすめる。
タイムアップの笛と同時に、あまりにも残酷な現実が襲ってくる。
選手の、寿人の流す涙。
久保社長(現会長)とサポーターの怒号。
怒りと悲しみがあいまったあの日は、決して忘れることはできない。


降格が決定してから9月23日までの290日間は、いろいろあった。
ペトロヴィッチ監督の残留。天皇杯決勝。本谷社長の就任。駒野の移籍と久保の復帰。ゼロックス優勝。
そして開幕してからは、ピリピリとした重圧に包まれるなか、浮き沈みはあったものの勝利を積み上げていった。一度も首位を譲らず、圧倒的に勝ち進んだ。
良いことと悪いことを比較するならば、圧倒的に良いことの方が多かったような気がする。
だが、そのすべてがどこかむなしかった。
「勝って当たり前」心から勝利を喜び、爆発させることができなかった。
負けても、怒りが沸点に来ず笑っていられる自分がいた。
「J2」の現実が、どんな出来事に対しても、素直にさせてくれなかった。


この日、昇格は決まるだろうと思っていた。どんどんビッグアーチに詰めかけてくる人たち見て、気持ちがさらに高まった。
ピークに達したのは選手入場の時だ。すごかった。
まさにむらさき一色に埋め尽くされたスタンドを見て、「これは決まる」確信に変わった。
キックオフ。硬さも見えた広島だが徐々にエンジンがかかり始める。
寿人が昇格への扉を開くと、公太がとんでもなく美しいゴールを突き刺した。
あとはもう時間を待つだけ。広島のゴールを見届け、祭りを楽しむだけだった。
浩司がインターセプトから独走し3点目を奪う。4点目はアオが決めた。


歓喜のホイッスルが鳴る。
花火が打ち上がり、スタンドから紙テープが投げ入れられる。ビッグアーチは喜びを爆発させた。
選手それぞれが喜びを体いっぱいに表現する。
12月8日。あの日の涙は、笑顔に変わった。


降格からの290日間は、あっという間だったのではないだろうか。
【ALL FOR J1】と掲げられたスローガンの下、「勝たなければ、戻らなければ」クラブも選手もサポーターも、それだけを頭に走り続けた。
結果を見れば圧巻の成績だが、1つ1つの試合が重圧のかかった勝負だったと思う。
プレッシャーのなか戦った選手たちは、J2なのに今まで以上の人数とパワーで支えたサポーターの力と共に、たくましく、うるおしく、そして楽しく、勝利を重ねていった。


正直、こんなに昇格決定を喜べるとは思っていなかった。
だが、握手握手を繰り返すたび、喜びが体の底からこみあげてきた。
J2の呪縛がとりはらうことができた。それが何よりうれしい。
これからはなににも卑屈になることはない。広島はJ1だ。声を高らかに叫びたい。
ふさわしい場所に帰る。またトップレベルで競い合うことができる。
いや競うだけではなく、もっと上を目指すことができる。上は、限りない。


まだここは到達点でもゴールでも何でもない。
選手たちはみな「スタート」と言っていた。その通りだと思う。
ここで歩みを止めず、どんどん登っていきたい。いや、登らなければならない。


12月8日の悔しさは、まだ誰も忘れていないはずだ。
本当に忘れることができるのは、まだ先のことだろう。
「J2に降格してよかった」なんてことを言えるのは、まだまだ上に到達してからだ。
そして、この日の歓喜もみんな忘れることはないだろう。
こんなにうれしいことはない。ぜひまた味わいたい。
そのためにも、広島はまだまだ走り続けなければならない。


この結果を勝ち取り、歓喜を迎えることができたのは、みんなの力が結晶したからだと思う。
監督が示したサッカーを、選手は団結してやり遂げた。
寿人や森崎兄弟を中心に一度もまとまりを欠くことなく、誰もが勝利のために、時には自分を押し殺して戦った。
フロントも迅速に的確に動いた。
ユキッチとダバツの外国人補強は失敗に終わったが、結城の加入は大きかったし、ペトロヴィッチ監督の続投は、大正解に終わった。
サポーターも、常に精一杯の声援を送った。
僕が特に忘れられないのは4節の水戸戦だ。ロスタイムの森脇の同点ゴールは、絶対サポーターが呼び寄せたものだと思う。
みんなが一体となり1つの目標に向かって戦ったからこそ、9月23日の歓喜が訪れたのだ。


みんなで歩けば怖くない ―
みんなで共に、上まで歩いていきたい。

2008年09月29日

J2 38節 vsC大阪
圧勝を勝ち取った指揮官

『優勝』いい響きだ。
J2という文字が付いてくるわけだが、それは無視すればいい。
ゼロックスと合わせて2冠となった今季は、パーフェクトなシーズンだった。
今後は天皇杯をじっくりと楽しみたいと思う。


優勝後にペトロヴィッチ監督は、「この結果を見れば、選手たちを褒めるしかない。我々がやり遂げたことは奇跡のような結果だ」と誇った。
おっしゃるとおりだと思う。
選手ももちろんだが、ペトロヴィッチ監督はこの一年間、素晴らしい仕事をした。


今だからあかせることだが、僕は宮崎キャンプを見て「ペトロヴィッチ監督を一刻も早くやめさせなければ」と思っていた。キャンプはそれほどボロボロに映った。
だが、ゼロックス優勝でその流れは180度変わった。今でもゼロックスのトロフィーがなければ、このシーズンはどうなっていただろうと思う。
大きな大きな転機だった。
そういう意味では、今季久保が果たした役割はでかい。


その後、ペトロヴィッチ監督はとにかく我慢強く、結果にこだわって戦った。
攻撃的な姿勢を打ち出して指針を示し、対話により選手たちの心をつかんで、時にははっぱをかけ、苦しい時だからこそ団結することの大事さをしつこいほど説き、一度も立ち止まることなく乱れることなくシーズンを駆け抜けた。


昨年と比較して、ペトロヴィッチ監督は柔軟になったと思う。
システムにはこだわるし、久保の起用法など難癖をつけたくなる時も多々あるが、選択理由が勝利最優先であったことは間違いない。
選手のモチベーションをうまく保ち、練習から全選手に高いレベルで取り組むことを求めて、選手層を拡大していった。
監督の求める要求の高さに、選手も切磋琢磨してたくましくなっていった。結城や楽山の獲得など、フロントの迅速な動きも効果的だった。
選手起用が柔軟になったのも、選手層が拡大し選択肢が広がったからだと思う。
今年は、去年のように12~13人のグループで戦うのではなく、常に18~20人のグループで戦えた。そして、チームが勝つためにみんなが戦っていた。
ペトロヴィッチ監督は、とてもいいグループを作って歩んでいったと思う。


ペトロヴィッチ監督の個性も、非常に光った。
かなり我慢強い人だ。僕は基本的に我慢強くない人間だから、ちょっと理解できないくらい我慢強い。
そして、オレ流はまげない。
ただ、この我慢強さと信念が究極の絶品を生み出した。
いま、破壊力とエンターテイメント性を兼ね備えてJ2を席巻している1トップ2シャドーは、ペトロヴィッチ監督だからこそ生み出せた一品ではないかと思う。


いつも読んでくれている方ならわかると思うが、僕は「ゴールを奪う本職のFWを起用せよ」と、これでもかと書いてきた。
ただ、ペトロヴィッチ監督は、これでもかと起用しなかった。
龍一や久保を起用していたら、もっと楽に勝てたゲームは少なからずあったと思う。
ただペトロヴィッチ監督は、シュートが入らない、もしくは打たない、洋次郎たちを起用し続けた。
練習でつねにゴールを強く意識させ、シュートが入るようになる日まで、我慢したのだ。


その結果が今に表れている。素晴らしいとしか言いようがない。
ペトロヴィッチ監督の我慢がなければ、洋次郎はここまで台頭していなかっただろう(13点も奪うなんて考えていた人はいるのだろうか)。陽介も、監督の我慢がなければコンディションは上がってこなかったのではないだろうか。
その裏には浩司やカズのチームプレー精神があるのだが、その精神を説いたのも監督なのだ。
ペトロヴィッチ監督が手塩にかけて作り上げた1トップ2シャドーに、僕は魅了されてしまっている。


また、指揮官として「勝負勘」がペトロヴィッチ監督に欠けているところだと、今でも僕は思う。
そして、勝負勘こそがプロの監督に最も必要なものだと思っている。
ただ、他にもさまざまな能力が必要なのだと、ペトロヴィッチ監督が持っている我慢だったり人望だったり、信念へのこだわりや理想が、とても重要な能力なのだと、教えてもらった。
勝負勘に優れた指揮官ならば、目先の1勝を拾ってくれるだろう。ただ、ここまでのサッカーを作り上げることはできなかったと思うし、ここまでの圧勝もなかったのではないか。
正直、「こだわり」という言葉が僕は嫌いで、必要ないものだと、現実を直視してなんぼだと、思っていた。だが、少し変わったような気がする。
今は、ペトロヴィッチ監督の作り上げたチームが、J1でどれだけ通用するのか楽しみでしょうがない。


ペトロヴィッチ監督には、まずお疲れさまと言いたい。
勝たなければ、戻らなければならない、すごい重圧で過ごした難しいシーズンだった。
それをペトロヴィッチ監督は、オレ流を貫き成し遂げた。
本当にすごいことだ。
ただ、願わくばペトロヴィッチ監督には、来季こそもっともっと楽しませてほしい。
来年は今書いたことが嘘のように不満が噴出してくるかもしれない。
でも、ペトロヴィッチ監督の信念は間違っておらず、貫き通す我慢があるのだとわかった。そして、それを信じていったら楽しませてくれるのではないかという期待を、今は持てるようになった。


来年が、ほんと楽しみでしょうがない。

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日程・結果

39節 vs湘南(H) 2-0


天皇杯 3回戦 10/12
 vs大阪体育大学(秋田)

41節 10/25 vs鳥栖(H)

天皇杯 4回戦 11/2
 vs東京V(西が丘)

42節 11/9 vs仙台(A)

43節 11/22 vs草津(H)