あまりいいゲームをすることはできなかった。監督も選手も内容には納得いっていないと思う。
ただ、それでも勝った。それが何より重要だし、「それでも勝った」ことに、4点を奪ったことに、強さをとても感じた。
僕は浩司のポジションは危ういと思っていたが、改めないといけない。
開始早々になんでもないところからピンチを招き、失点を与えた。
集中力が欠如したミスによりビハインドを背負った。
洋次郎と久保を連れて行かない余裕を見せたペトロヴィッチ監督は、少なからず焦ったのではないだろうか。
出鼻をくじかれ、勢いにのった水戸のプレスはなかなか強烈で、いつものポゼッションができずロングボールが多くなり、服部の前をビジュでふさがれ、攻めの形ができない。
陽介は極端にボールを触る回数が少なかった。イライラしていたと思う。
だが、広島は焦って自らリズムを崩すことはなかった。
28分、くさびを受けに降りてきた陽介がアオに落とすと、浩司が最終ラインとボランチの間に侵入しているのを見逃さず、アオがいいタイミングでパスを送った。
相手を背にしながらパスを受けた浩司はトラップでうまく振り向き、ゴール正面から右足を振り抜き、ゴールを射止めた。
水戸は、陽介を捕まえられなかったことで守備が後手に回った。このワンプレーがスペースのねじれを生み、浩司に遅れて対応するしかなかった。
水戸としては、チームとして狙い通りに広島のサッカーを封じていただけに、隙ともいえないズレを見逃してくれなかった広島の攻撃と、浩司の個人技に脱帽するしかなかっただろう。
そして6分後、服部を初めてフリーにしてしまった水戸は、寿人に逆転弾を刺された。
警戒していた服部を1回逃しただけで、水戸はやられてしまったのだ。
この攻撃は、水戸の崩れたバランスをそれぞれがパーフェクトなプレーでゴールへつなげた。チームで奪った得点だ。
だが、僅か1回で満点のクロスを送った服部ときっちり決めた寿人は、やはりさすがだ。
この得点で、水戸は混乱した。
広島をしっかりと研究し、ラッキーな形ではあったが先制し、水戸はプランどおりにゲームを進めることができていたと思う。
ただ、わかっていても止められない個人技に、やられてしまった。
ショックは大きかったと思うし、混乱するのも仕方ない。
前半のうちにとどめを刺すことはできなかったが、広島は背負ったビハインドと悪い流れを、前半だけで吹き飛ばした。
後半、落ち着きを取り戻した広島は、らしさを見せ、陽介と寿人が加点して結果4-1の大勝を飾った。
カズがボランチにいれば、チームは慌てることがない。
サッカーに事故やアクシデントはつき物だし、相手がいて止まることのないスポーツだから、思い通りに行かない時は来る。それは仕方ない。
ただ、そんな時はそれぞれがやるべきことをし、みんなが同じ方向を向いて自分たちの時間帯を持ってこないといけない。カズがいれば、ブレない。
悪い流れでもチャンスが訪れるのがサッカーでもある。一撃で流れを変えることができる。浩司の一発がまさにそれだった。
今さらながらだが、森崎兄弟は広島にとって大きな存在だと思う。
いい勝利だった。アクシデントをもろともせず、「強さ」をとても感じたゲームだった。
残り11試合、負ける要素がどんどん少なくなってきたのではないか。
このまま勝ち続け、最後まで行ってもらいたい。いまのチームなら不可能なことではないと思う。
次節は寿人がいないが、それも逆に楽しみだ。