むらさき: 2008年08月 アーカイブ

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2008年08月 アーカイブ

2008年08月04日

J2 29節 vs鳥栖
久しぶりの浩司

久しぶりに「浩司」を見たような気がする。
それは、26節・岐阜戦以来4試合ぶり、流れの中からでは13節・福岡戦以来16試合ぶりのゴールだったから、という理由だけではない。
もちろんそれが一番大きいのだけど、鳥栖戦はゴールのみならず、浩司の魅力がたくさんつまったゲームだった。
やっぱり、浩司にはゴールと笑顔が似合う。


前半の広島は、立ち上がりの鳥栖のハイプレッシャーにミスを連発したが、徐々にカズと浩司が中心になってボールをキープし、相手を押し込み始めた。
カズの落ち着き払ったプレーと浩司の正確な長短のパスが、いつもの広島のサッカーを取り戻させたのだ。
だが、2列目からの飛び出しが少なく、両サイドからクロスも精度が上がらず、得点にまでは至らなかった。
決定機はセットプレーからのみ。鳥栖にうまく守り抜かれたという印象が強い前半だった。
だが浩司は、「パスを回しすぎて、危険な攻撃になってなかった」と前半を振り返った。
自分たちのサッカーができていなかっただけ、できれば点が取れる。
このコメントには、強い自負を感じた。


後半立ち上がり、広島は浩司が自信を持っている広島の姿が現われ、鳥栖ゴールを強襲した。
アオがミドルを放ち公太の突破がチャンスを作る。そして48分に先制した。
CKのこぼれ玉に反応した公太が、キッカーだった陽介にボールを渡す。陽介は相手を引き付け、危険な位置に侵入していた盛田にパスを送った。陽介らしいアイデアのあるパスだった。
盛田は、ファウルかと思われるかもしれないほど、激しい玉ぎわの競り合いに勝ち、洋次郎マイナスのクロスを送る。
だが、7ゴールすべてを右足で奪っている洋次郎は、今回も窮屈になりながらも右足で打つ選択をし、相手DFのブロックに合ってしまった。


しかし、そのこぼれ玉は、浩司の前に絶好球となって転がってきた。
ただ、シュートをゴールに突き刺すには、僅かな時間、僅かなコースしかない。
「いつもだったら力んで外していたけど、落ち着いて打てた」。
急がなければならず、他に選択肢がなかったから落ち着けたのかなと思う。難しい設定が幸いした。
冷静にボールを捉えた浩司のシュートは、パーフェクトな美しい弾道を描き、ゴールネットが揺れた。


浩司は「いつも決めていなかったんで、決めたぞ、という意味もあって」ペトロヴィッチ監督の下に走り、抱擁を交わした。
1つポジションを下げ、言えば我慢してもらっている浩司がゴールを奪ったことは、監督にとっても大きな喜びだったのではないだろうか。
浩司も苦しんでいたと思う。「僕のベストポジション」と言う2シャドーでプレーした気持ちはずっとあったはずだ。自分の特徴を出すことを控えてチームプレーに徹しすることで、思い切りの良さが影を潜めていた。


だが、徐々に後方から攻撃に参加する回数も増えているし、タイミングもよくなってきている。浩司らしさが、ボランチで出せるようになってきたのだ。
試合後、浩司は「ボランチも楽しくなってきた。(自分に)合っているかなとも思う」と笑顔を浮かべている。
僕は、浩司はボランチがいいと思う。
意外性で相手の虚を付く洋次郎とも陽介とも違う、『正確無比な左足』という武器が浩司にはある。
この左足を生かすためにも、少し後ろからスタートしたほうがいいのではないだろうか。
バランス感覚がどんどん増してきているし、パスワークの中心になり、リズムを変えることもできる。攻撃的センスは、言うまでもない。
ボランチ・浩司は、今後大きな武器になっていくのではないかと思う。


広島は、この1点を守り切って鳥栖を退けた。
その後はシュートがポストに嫌われ、桑田の突破がファウルを取ってもらえず、追加点を奪えなかった。
もう1点取れればゲームは決まっていたし、早く決めてしまわなくてはいけないゲームだったはずだ。
昭大の目を覆いたくなるミスの場面など、運に助けられた部分もある。
鳥栖に少なからずゴールを脅かされた終盤は、自滅に近い無駄なハラハラだった。


だが、それでも守り切れたという結果が何より素晴らしい。
交代で入った桑田は、2列目からの飛び出しでチームに勢いを与えたし、「走る」という役割は完璧にこなした。結城も必死に身体を張っていた。
途中出場の選手が役割を果たせるチームは強い。安定した結果を残していくために欠かせないベンチの活躍が、今の広島にはある。
そして、終盤での失点が目に付き勝ち点を落としたゲームもあったが、カズがリベロに入ったここ6戦は80分以降の失点がない。
リーダーシップをとってくれているカズの存在は、結果が物語るようにとても大きいし、チームの意思統一がとても明確になっている。
今の広島には、1点差で勝つための要素が備わってきているように思う。


次節・仙台戦は、負けた相手でもあるし、絶対に勝ちたい。
第2クール最後。寿人の古巣のスタジアム。ナジソンが出てくるようだ。
いろいろ注目したいポイントはあるが、とにかく、仙台に絶対に勝ちたい。

2008年08月11日

J2 30節 vs仙台
釈然としない引き分け

この引き分けをどう捉えていいのか、迷う。
アウェイで、ユアテックスタジアムで、「勝ち点1を奪った」という考え方は、もちろんできる。
置かれている状況も、絶対勝利というよりも下位仙台に勝ち点を与えないことの方が重要だった。
長いシーズンを考えれば、この引き分けは悪くはない。それは理解できる。
だが、釈然としないものがどうしても沸いてくる。
全部勝てと言っているわけではないのだが、このゲームは、勝ちたかった。最後まで勝利を目指して欲しかった。


英雄だった場所で違う色のユニフォームを着てプレーする。
寿人にとってこの一戦はとても重要なものだった。様々な感情が渦巻いていたとは思うが、寿人自身は勝ちたかったに違いない。
そして、寿人は紫のユニフォームを着てゴールを決めてくれた。
さすがだと思う。見事な一撃だった。
だからこそ、勝って欲しかった。広島の寿人が仙台を葬ったと、声高らかに言いたかった。
この想いはどうしても拭い去れない。悔いが残る。


ゲームの内容も、勝利にふさわしい内容だった。
仙台は3ボランチを敷き守備を固めてきたが、その分攻撃の脅威はなくなり、新外国人ナジソンの実力を計るところまでさえも辿り着けなかった。
ボールがよく動き、広島のサッカーができていたと思う。
奪われ方が悪くカウンターの打ち合いになる我慢しきれない時間帯もあったが、相手の迫力不足もあり大事には至らなかった。


ただ、チャンスの見合うゴールを奪えない、いつもの展開にはなった。
でもこれはしょうがない。この問題は広島だけの問題でもなければ、簡単に解決できる問題ではない。
「決められなかった」ツケを払わされたが、決定力と真剣に向き合えばどんどん泥沼にはまっていきそうな気がする。


逃したチャンスが大きく響き、サッカーの掟にのっとって仙台に流れを持っていかれた。
そんなゲームだったと思う。よくある、たくさん見てきた展開だ。
ただ、そこに不甲斐なさは、感じなかった。
僕が不甲斐なさを感じたのは、同点に追いつかれてからチームが見せたリアクションだ。
ペトロヴィッチ監督は、ハンジェに代えて結城、服部に代えて楽山を投入した。
どういう意図があったのか、負傷や疲れによるものだったようだが、それでは納得はいかない。


もっとオープンに戦ってほしかった。
終盤に仙台の攻撃がパワフルになったわけでもない。スタジアムの雰囲気は確かにすごかったが、選手が流れに呑まれていた印象も抱かなかった。
陽介は最後まで運動量を保ち、少ない人数で仙台ゴールを脅かしていた。
リスクをかける必要はないが、1点を狙いにいっても十分やれたのではないか。
采配に「勝て」というメッセージはこもっていなかった。
勝つチャンスを、みすみす手放したように感じた。


洋次郎は、終了のホイッスルが鳴るとガッツポーズをつくった。
監督の会見も、余裕すら感じる和やかなものだった。
仙台との前回対戦は最悪の結果を招いてしまったが、その再現をチームの力で避けることができた、成長した部分は確かに評価できると思う。
負けない強さは、広島にとても必要な強さだ。
ただ、負けゲームではなく勝ちゲームだった。
それなのに勝ち点3をあきらめ、1を守りにいった今節の広島の姿に、僕は釈然としない。


シーズンは残り1/3。昇格はもう確実に手の届くところに来た。あと8勝すれば確実に昇格を果たせる。
ただ、守りに入ってしまうと危険なのではないだろうか。
「落ちるのははやい」とペトロヴィッチ監督はずっと僕たちを説き伏せるように言い続けている。
ならば、つねに攻撃的姿勢で立ち向かってもらいたい。
相手が広島を上回っていたり、アクシデントが起きたり、そんなゲームならば勝ち点1を奪いにいくゲームもあるだろう。
だが、みすみす自分たちから勝ち点3を放棄してしまえば、神様はそっぽを向かないだろうか。
勝負事では、守りに入った逃げは、相手に付け込まれるものではないだろうか。
今節の広島の姿勢には、怖さを感じた。

2008年08月17日

J2 31節 vs甲府
始まる前から負けていた

敗因はいろいろあると思う。
その中でとくに気になったのが、選手が「自信がなさそうに」プレーしていたことだ。
今季、広島に敗れていった敵将は、個人の技術やグループ戦術のレベルの高さも賞賛していたが、「自信を持ってプレーしている」メンタル面の強さを、広島の強さに挙げる方々が多かった。
選手たちには経験があり、ペトロヴィッチ監督がしっかりとやるべきサッカーを打ち出し、結果が残っていくことでどんどん膨れ上がった自信は、広島の大きな強みになっていたのだ。
なのに、今節はその自信がグラついていた。


甲府とは相性が悪い。甲府はペトロヴィッチサッカーの天敵だ。
これはもう結果が雄弁に物語っている。
よって19節に甲府と対戦した時、ペトロヴィッチ監督はシステムを変えて甲府戦に臨んだ。
築き上げてきたサッカーで勝るためではなく、勝負に勝ちに行ったのだ。
この決断は、「哲学を曲げた」と言ったら言いすぎだとは思うが、それほど驚きがあった。
この策は奏功した。
広島のいつものサッカーはできなかったが、相手の攻撃をしのぎ、カウンターを生かして、勝った。
ペトロヴィッチ監督は甲府に初勝利を上げ、広島は小瀬で初めて勝った。


甲府戦に臨む準備期間、ペトロヴィッチ監督は迷っていた。
19節の戦い方をするのか。いつも通りの戦い方をするのか。
イリヤンは戻ってきたが槙野が出場停止だったことも、頭を悩ませた原因だったと思う。
日替わりでシステムは変わり、選手の配置も変え、試行錯誤を繰り返してベストを模索していた。
だが、変更すればメリットとデメリットは必然と生まれてくる。
練習の合間に選手同士が話し合い、監督と選手が話し合う姿が頻繁し、選手たちはうつむきながら練習場を後にしていった。
ペトロヴィッチ監督は、最後まで迷っていた。


結局、ペトロヴィッチ監督はいつも通りの戦い方を選択した。
ただ、この選択が間違っていたとは思わない。
ペトロヴィッチ監督が間違っていたのは、戦い方を明確にして選手を送り出せなかったことだ。
ペトロヴィッチ監督の迷いは、選手と不安を抱かせることになった。
選手たちは自信を持ってピッチに立つことが出来なかった。


それは顕著だった。
ゲームが始まると広島はいつものポゼッションができなかった。
甲府が前からプレスをかけてきたことも原因としてあるとは思うが、そんなことよりミスが多かった。
自分たちのサッカーができていない焦り、不安、不満が運動量と連動性を失わせ、いつもなら起こらないミスが目立った。
その結果、押し込まれ始めると安全策をとるため広島のラインは深くなり、ロングボールが多くなった。
ただ前線は孤立している。ボールをすぐに取り返された。
ゲームをコントロールすることは、できなかった。


しかし、悪い流れでゲームを進んでも、選手たちは修正する力を持っている。
ただ失点が痛かった。取られ方も悪かった。
セットプレーからであり、ファウルかもしれない不運も重なってしまった。
33分のハンジェのシュートが決まっていれば展開は変わったと思うが、それもならなかった。
先制点を奪い戦い方が徹底されていた甲府は、頭が整理されやることがはっきりしていた。そういう精神状態になると、身体は動く、集中力も高まる。
一方広島は、ビハインドと自分たちのサッカーが出来ていないことで、どんどん焦りがつのり、疑心暗鬼が膨らみ、身体は自動的に動かなくなった。


後半、杉山の一発に出足をくじかれると、今季初めて2点を追う展開となり、ペトロヴィッチ監督は選手を変え、システムを変えて反撃を試みたが、取り返すことはできなかった。
不運もあった。別次元の久保の高さがゴールをこじ開けかけた。
しかし、広島は最後まで広島らしいサッカーをすることができず、敗れ去った。
今季初の内容でも結果でも負けたゲームではなかっただろうか。


広島は、ゲーム開始前から負けていたんだと思う。
指揮官の迷いが選手の精神面を乱し、広島はちぐはぐな戦い方をした。
甲府は、「広島のサイドのスペースをはやくつく」狙いが徹底されていた。みんなが理解し、集中力がみなぎっていた。
ゲーム前の指揮官のチームの導き方が勝敗を分けたのだ。
「ペトロヴィッチ監督の負け」と言えるゲームではないかと思う。


今後、このようなミスは絶対に犯してもらいたくない。
甲府はペトロヴィッチ監督にとって特別なチームだからこうなったのだと思うが、指揮官が迷っていては、始まらない。
広島は現在首位だ。
「相手は恐れていない。私が不安なのは自分たち」ペトロヴィッチ監督はさいさん口にする。
それでいいのだ。
自分たちのサッカーを自信を持ってできれば、相手を凌駕する力を広島は持っている。結果が示している。
己を貫けばいい。それで負けたなら、気分もいいし、修正するところも見えてくる。


この敗戦は、きれいさっぱり忘れたほうがいい。
次は浩司とアオがいないが、寿人がいない時も、ストヤノフがいない時も、カズがいない時も、広島は勝ってきた。心配することはない。
自分たちのサッカーができれば、勝てる。
自信を持ってピッチに立てば、勝てるんだ。
次節の福岡戦は、負けは許されない怖い一戦だ。
こんなゲームだからこそ、自分たちを信じてピッチに立ってもらいたい。

2008年08月24日

J2 32節 vs福岡
もういいだろう

もういいだろう。
僕は福岡戦を見て、昇格は決まったと思った。
それほどいいゲームを広島は見せてくれたと思う。


失点はすべて福岡のミスが絡んでいた。
1点目は、我らがエース、寿人を見失うという福岡守備陣の驚くような失態が招いた。
2点目は、言わずもがなGKとDFのお見合いだった。
3点目は、陽介の迫力を前に福岡DFはあれよあれよと道を開けていった。
4点目は、GKの・・・


だが、この4つゴールは、広島が奪った素晴らしいゴールだったと思う。
僕はとくに2点目が好きだ。
カウンターを仕掛け、ハンジェは好判断で逆サイドの服部にパスを送った。
だが少し長く、ラインを割ってしまいそうだった。
しかし、服部はあきらめずに滑り込んでボールを生かし、前線へ蹴りこんだ。
そのボールがくると信じて走りこんでいた陽介は、身体を先にDFに入れられながらもあきらめずに最後まで追いかけ、相手のミスを誘発。得点が生まれた。


この得点は、誰か1人でもあきらめていたら得点にはなっていなかった。
前半終了間際のあきらめてもおかしくない状況で、あきらめなかったからこそ、生まれた。
相手のミスは、だから起きた。
技術ではなくチームの意思が生んだ得点だったと思う。
こういう得点はチームを勢いづける。チームがイキイキしているからこういう得点が生まれる。
この得点で福岡の心も折れたのではないか。
与えるダメージは絶大の、素晴らしい得点だったと思う。


この日の広島は、まず運動量が相手を上回っていた。
陽介が速い切り替えと豊富な運動量で、ボールを失ったら相手にくらいつきチームを先導すると、連動して周囲が動いた。
広島の圧力に、福岡はあたふたしてミスを繰り返してしまったのだ。
確かに福岡の自滅だ。だが広島が自滅に追い込んだのだ。


そして、ピッチ中央のボランチに戻ったカズが、相手の嫌なところで身体を投げ出し防波堤として立ちはだかった。
カズは相手にチェックに行くと、ただで転んでは帰ってこない。
絶対ボールに触る。それができなくても相手のバランスを崩す。
相手の攻撃の出どころを頭で読み、身体を張って潰してくれることで、福岡のいい形で広島が嫌な形で、攻撃を受けることがなかった。
また、カズは落ち着き払いパスミスが極端に少ないため、周囲が信頼して走れる長所もある。


カズのクレバーな泥臭さと陽介の飛び跳ねるような運動量が、福岡戦の大勝を引き寄せたのだ思う。
「玉ぎわで激しく戦うこと。相手より走ること」
ペトロヴィッチ監督がいつも口にするサッカーの基本中の基本ともいえる勝利の条件を、やりとおし、相手を上回った。
カズが身体を張れば、ピッチのなかの広島の選手はそれを見てやらないわけには行かないだろう。
陽介が走っているのに、寿人も走っているのに、他の選手が走らないわけにはいかないだろう。
カズがボランチに戻ってきて、陽介が走れるようになったいまの広島は、基本で相手を上回れる。
そうなれば、相手に関係なく自分たちのサッカーができる。
ならば、ゲームに負けることはないのではないか、と僕は思う。


残り7試合勝てば昇格が決まる。
基本を怠らなければ勝利の扉は開けるのだから、あとは慢心や過信さえしなければいい。
はやく、こんな場所からお別れしよう。
福岡戦の勝利は広島が素晴らしかったから勝ったのに、あんなミスばっかりやられたら勝利がかすんでしまう。
上で勝負したい。

2008年08月31日

J2 33節 vs水戸
さすが浩司

あまりいいゲームをすることはできなかった。監督も選手も内容には納得いっていないと思う。
ただ、それでも勝った。それが何より重要だし、「それでも勝った」ことに、4点を奪ったことに、強さをとても感じた。
僕は浩司のポジションは危ういと思っていたが、改めないといけない。


開始早々になんでもないところからピンチを招き、失点を与えた。
集中力が欠如したミスによりビハインドを背負った。
洋次郎と久保を連れて行かない余裕を見せたペトロヴィッチ監督は、少なからず焦ったのではないだろうか。
出鼻をくじかれ、勢いにのった水戸のプレスはなかなか強烈で、いつものポゼッションができずロングボールが多くなり、服部の前をビジュでふさがれ、攻めの形ができない。
陽介は極端にボールを触る回数が少なかった。イライラしていたと思う。


だが、広島は焦って自らリズムを崩すことはなかった。
28分、くさびを受けに降りてきた陽介がアオに落とすと、浩司が最終ラインとボランチの間に侵入しているのを見逃さず、アオがいいタイミングでパスを送った。
相手を背にしながらパスを受けた浩司はトラップでうまく振り向き、ゴール正面から右足を振り抜き、ゴールを射止めた。
水戸は、陽介を捕まえられなかったことで守備が後手に回った。このワンプレーがスペースのねじれを生み、浩司に遅れて対応するしかなかった。
水戸としては、チームとして狙い通りに広島のサッカーを封じていただけに、隙ともいえないズレを見逃してくれなかった広島の攻撃と、浩司の個人技に脱帽するしかなかっただろう。


そして6分後、服部を初めてフリーにしてしまった水戸は、寿人に逆転弾を刺された。
警戒していた服部を1回逃しただけで、水戸はやられてしまったのだ。
この攻撃は、水戸の崩れたバランスをそれぞれがパーフェクトなプレーでゴールへつなげた。チームで奪った得点だ。
だが、僅か1回で満点のクロスを送った服部ときっちり決めた寿人は、やはりさすがだ。


この得点で、水戸は混乱した。
広島をしっかりと研究し、ラッキーな形ではあったが先制し、水戸はプランどおりにゲームを進めることができていたと思う。
ただ、わかっていても止められない個人技に、やられてしまった。
ショックは大きかったと思うし、混乱するのも仕方ない。
前半のうちにとどめを刺すことはできなかったが、広島は背負ったビハインドと悪い流れを、前半だけで吹き飛ばした。
後半、落ち着きを取り戻した広島は、らしさを見せ、陽介と寿人が加点して結果4-1の大勝を飾った。


カズがボランチにいれば、チームは慌てることがない。
サッカーに事故やアクシデントはつき物だし、相手がいて止まることのないスポーツだから、思い通りに行かない時は来る。それは仕方ない。
ただ、そんな時はそれぞれがやるべきことをし、みんなが同じ方向を向いて自分たちの時間帯を持ってこないといけない。カズがいれば、ブレない。
悪い流れでもチャンスが訪れるのがサッカーでもある。一撃で流れを変えることができる。浩司の一発がまさにそれだった。
今さらながらだが、森崎兄弟は広島にとって大きな存在だと思う。


いい勝利だった。アクシデントをもろともせず、「強さ」をとても感じたゲームだった。
残り11試合、負ける要素がどんどん少なくなってきたのではないか。
このまま勝ち続け、最後まで行ってもらいたい。いまのチームなら不可能なことではないと思う。
次節は寿人がいないが、それも逆に楽しみだ。

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日程・結果

39節 vs湘南(H) 2-0


天皇杯 3回戦 10/12
 vs大阪体育大学(秋田)

41節 10/25 vs鳥栖(H)

天皇杯 4回戦 11/2
 vs東京V(西が丘)

42節 11/9 vs仙台(A)

43節 11/22 vs草津(H)