むらさき: 2008年07月 アーカイブ

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2008年07月 アーカイブ

2008年07月07日

J2 24節 vs熊本
重要なのは、失点しないこと

この勝ち点1をどう捉えるべきなのか、迷う。
「内容から見れば勝たないといけないゲームだった」。監督、選手からは同様の言葉が漏れた。
「勝ちゲーム」だったと思う。
前半に浩司が2度、後半に洋次郎が1度、決めなければならないビックチャンスを逃している。
あれを決めてい「たら」、広島の圧勝で終わっていた。
「3」がほしかったゲームだったし、手中にしていたゲームだった。


ただ、洋次郎や浩司は身体に鞭打って出場した。チームは疲労困憊だった。ストヤノフも不在だった。ミスから先制点を奪われた。
こんな厳しいゲームで勝ち点1を奪えたのだから、良かったのではないかとも思う。
「満足できないが、悪くはない」そんな勝ち点1ではないだろうか。


このゲームが勝ち点1となったもっともな原因は、やっぱり「チャンスを逃したこと」だと思う。
このゲームのターニングポイントは、64分の洋次郎がGKとの1対1を決められなかったプレーだろう。
あそこで2点差にすれば、かなり高い確立で勝っていたはずだ。
40M近くをスプリントしてGKと1対1を迎えた洋次郎は、素晴らしいプレーをした。
だが決められず、この素晴らしいプレーは、逆に相手の希望を膨らませることになった。


それにしても、「チャンスを決められない」問題はどうしたものだろう。
C大阪は今節ゴールを奪えず鳥栖に敗戦した。クルピ監督はゴールを奪えなかったことについて、こんなコメントを残している。
「一言で言うと決定力で、フィニッシュの精度という点で、実力がまだない。あれだけのチャンスを作っても、そこが原因。無得点で終わる試合はそう多くはないが、要因はそういうところ。
(その対策は?)常にやっていること。水曜日に試合がない週、1週間空く週は、クロスやフィニッシュの練習をやっている。それを続けるしかない。それを続けることで試合の中で決まってくる。さらには、フィニッシュという局面においては、やはりメンタルの部分も関わってくる。試合になれば、少しナーバスになり、練習でできていることができなくなる。そういう形でチャンスを逃すことがある。それでも、J2のなかでは一番シュート数が多いほうだと思うので、一言で言えば、やはり決定力が足りないということになると思う」。
ペトロヴィッチ監督もよく同様のコメントを発する。
「監督がどうこうできない部分」という趣旨のコメントをしたこともあった。
この問題に解決策を求めるのは、非常に難しいということだと思う。
どのチームも、どのカテゴリーでも、この問題に悩んでいる。
サッカーは決まらないことの方が多いスポーツだ。


だから、今勝ち点を積み上げていくためには、「決定力不足」の難題解消を求めるよりも、まずは守ることを考えるべきではないだろうか。
同点ゴールを決められてしまった。これをなくすことに力を注いだ方が確実だ。
この失点は、山口の素晴らしさがまず際立っていたと思うが、あの状況をつくられたことにそもそもの問題がある。
勝っていたのだ。カウンターを受ける理由がない。フリーでクロスを蹴られる理由がない。数的不利、もしくは同数で守らなければいけない道理がない。
3点目を取るために、あそこまでリスクを背負う必要は、ぜんぜんなかった。
そして、何度も素晴らしい攻撃参加を見せ1点目も演出した槙野が、競り負けてしまった。
槙野の職場はあそこだ。何をしにピッチにたっているのかと問いたくなる。


広島は、5ゲーム連続で失点し7つのゴールを奪われている。
現状は非常に危険な兆候と捉えるべきだろう。
昨季も夏場に差し掛かると、どんどん失点が膨れ上がっていった。
今季負けていないのは、攻撃陣の奮闘と相手の力不足によるところが大きい。
このまま失点が続くようだと、勝ち点を失うだけでなく、チームのバランスが崩れていく。


いまの広島に重要なのは、まず失点をしないことだ。
サッカーは、得点しなければ勝てないが、失点しなければ負けない。
今は、負けないことの方が重要な時である。
守備陣は、攻撃参加で力を発揮し守備で根負けしていては、本末転倒もいいところ。まずは全精力を守備に注ぎ込んでもらいたい。
リスク管理も、カズがボランチに戻ればかなり改善されるだろうが、チーム全体で再認識してもらいたい。


水曜日の愛媛戦もチーム状況はいぜん苦しく、正念場を迎えた広島はより深刻さが増している。
勝ち点を得るため、負けないサッカーに徹してもらいたい。
攻撃は、「寿人と洋次郎に託す」くらいの気持ちでいい。やってくれるだろう。
守備陣は守備に徹せよ。

2008年07月10日

J2 25節 vs愛媛
全員の力で乗り越えた

こういうゲームが見たいんだよ。
ケガ人が続出していることや疲労が蓄積しているなんて、大小こそあれどのチームも同じなんだ。
今は確かに苦しいが、それでも広島は、選手層が厚く個人能力が高い。これは間違いない。
「勝ちに徹する」ことができれば、勝利の扉を開く力を持っているんだ。


ストヤノフがいない、カズが中盤にいない。山形に破れ、熊本に引き分けた。
これは本当に緊急事態であり、非常灯が広島を騒々しく照らしていた。
こういう緊急事態の時は、まず逃げる、乗り切ることを考えるべきなんだ。
どんなにかっこ悪くても生還することを最優先とし、各々ができることを精一杯やり、みんなで助け合って、窮地を乗り切らないといけない。
愛媛戦の広島は、それをやってくれた。


洋次郎と寿人が得点を奪った。
昭大が果敢に身をていしてゴールを守った。
槙野は昭大のミスからのピンチを身体を投げ出してブロックした。
61分のミスはアオが救った。
途中出場の結城は、全力を惜しみなく出した。
陽介は、相手の流れをプレスと技術でこっちに引き寄せた。
久保は、決めて欲しかったが、キープ力でゲームを終わらせた。


ピッチに立った全員が、自分のすべきことをきっちりとやり遂げ、チームのために、勝つために戦ったからこそ、勝利を掴み取ることができたのだと思う。
広島らしさは確かに影を潜めた。
シュート数も愛媛が上回っていた。
ただ、そんなことはどうでもいい。
今は、緊急事態を乗り切ることが大事だったのだ。


それにしても、寿人は「エース」と呼ばれるにふさわしい選手だ。
前節の2ゴールに続き、今節は貴重な追加点を奪ってくれた。
この窮地で結果を残してこそエースである。
寿人がいることが頼もしい。


浩司やカズも不慣れな場所でプレーしながら、チームに貢献してくれた。
リベロのカズ、ボランチの浩司では、彼らのポテンシャルが発揮できていたとは言えない。
ただ、この2人の存在がチームにどれだけ重要なのかを改めて認識させてもらった。
経験でチームを支え、プレーでチームを導いてくれている。


愛媛戦の勝利は、非常に大きい。
この一勝で非常灯の明かりは落ち着きを取り戻す。
だが、次節も苦しい状況にあることに変わりはない。
ストヤノフの出場は依然微妙で、選手たちの疲労もピークに達している。
岐阜は山形を破った勢いがあり、今節ゲームがなかったため休養は十分。相手に大きなアドバンテージがある。
ただホームだ。アウェイで苦い想いをした相手でもある。
サポーターがついているし、愛媛戦のようにみんなで立ち向かえば乗り越えることはできるはずだ。


次節を終えれば、負けられないゲームが続くことに変わりはないが、一週間間隔でゲームが行われ過密日程からは開放される。正念場の最後だ。
泥臭くていい、90分後に、ただただ勝っているために戦ってもらいたい。
岐阜戦は、愛媛戦同様に大きな意味を持つ一戦になる。
ここが底力の見せどころだ。
広島の強さを見せ付ける、絶好のチャンスでもある。

2008年07月13日

J2 26節 vs岐阜
完勝!

陽介、ようやくの今季初得点だ。
リーグ戦は昨年11月の31節清水戦以来。公式戦では天皇杯準々決勝F東京戦以来。
長かった。
「これでもっと余裕を持てるようになる」。陽介もやっと本当の笑顔を浮かべていた。
この1点は、陽介本人にとっても、監督を始めチーム全体にとっても、サポーターにとっても、大きな大きな1点になったと思う。
首位を走り続ける広島に足りないものがあったとすれば、陽介の笑顔だったろう。
五輪イヤーでもあった重要な一年の前半戦は、負傷を繰り返し本人も周囲も失望ばかりだった。
だからなおさら、これからの巻き返しを期待したい。
背番号10の輝きを手に入れた広島は、いよいよ完全体となって後半戦に突入できる。


岐阜戦は、今季のベストゲームといえるくらいの広島の完勝だった。
ストヤノフの不在や過密日程など懸念材料がたくさんあった一戦を、強い気持ちで吹き飛ばしてくれた選手たちは本当に素晴らしい。
黒子に徹してくれたカズや浩司に支えられ、広島の魅力溢れるサッカーが爆発した。


実にしたたかに、明確な狙いを持って、得点を積み重ねた。
セットプレーから得点が生まれることは42分以前にわかっていたことだったし、キックの質と中の高さは岐阜を凌駕していた。
そして、相手のミスを逃さず連動した高速カウンターで加点。
前半のゴールは「広島の形」ではなかったかもしれないが、相手に絶大なダメージを与える、時間帯であり、奪い方だった。
我慢強く戦ってストロングポイントで得点し、隙を見逃さない。
まさしく「強者」のゲーム運びだったと思う。


後半に入っても、広島はしたたかだった。それでいて娯楽にも溢れていた。
巻き返そうと前がかる岐阜に対して、落ち着いてパスを回しながら、相手がバランスを崩した瞬間を逃さずに前線にボールを配給し、寿人が追加点を奪う。
この得点は寿人ならではの、研ぎ澄まされた嗅覚と集中力が結実した素晴らしいゴールだったが、チーム全体で組み立てた得点だった。


そして、この連戦で攻撃を一手に背負って活躍した洋次郎を休ませながらも、代わった一誠が忠実にプレーし、陽介が魅せたことでまったくパワーダウンはしなかった。
4点目も、後方でパスを何本もつないで相手の出方を伺い、心を折り、ハンジェへの盛田のスーパーなサイドチェンジでギアをあげて一気にPA内に進入し、PKをゲット。
浩司が(見ている方がドキドキする)PKを決め、ビッグアーチはお祭りになった。


その後も、久保と桑田はそれぞれの役割を果たし、再三スタジアムを沸かせて(陽介のスルーパスがずれなければもっと加点できただろう)、最後までまったく手を抜かずにゲームを締めくくった。
広島強し! まさに完勝と呼ぶにふさわしい勝利だった。


これで勝ち点は55。
ペトロヴィッチ監督が「ターニングポイント」と捉えていた3連戦を、2勝1分の成績で乗り切ることに成功し、J1昇格の尻尾をつかんだ連戦になったのではないかと思う。
この3連戦、チームは非常にたくましかった。
寿人がしっかりと結果を残し、カズや浩司がチームを支え、選手の闘志を指揮官は駆り立て、昭大や陽介や盛田らの新パワーの台頭もあった。
広島の底力を高らかに示した連戦になったと思う。


ただ、次節C大阪戦に負けては何も意味を成さない。
1つのターニングポイントは乗り切った広島だが、最後にトップに立っているかどうかがすべてだ。
これからは上位陣が続き、酷暑のなか長距離アウェイ戦が多くある。
まだまだ苦境は待ち受けているだろう。
今後も継続して力を誇示し続けてもらいたい。





今節のような魅力的なゲームは、癖になる。
サッカーと広島を愛する老若男女に通ずる、醍醐味がつまったゲームだった。
みんなが魅せられたし、選手たちも楽しかったはずだ。誰もがこのゲームは絶対に忘れない。
だからこのゲームを見てしまった人は、「また見たい。またしたい。」と、普通思う。
ただ、この気持ちが勝利への欲求より上回らないようにしないと。
こんなゲームなら毎日でも見たい。毎試合こういうゲームをして欲しい。一度したのだから、できるということでもある。
だが、こういうゲームをまたする為に、犠牲を払ったり、リスクを負う必要はない。勝利の付加価値でいい。
「まず勝利」そう自分に言い聞かせようと思う。

2008年07月21日

J2 27節 vsC大阪
陽介スペシャルで勝利

3つのゴールはすべて美しかった。
間違いなく日本の2部リーグのレベルではなかった。
そのなかでも、陽介の奪ったゴールは特別だったと思う。
まだあの美しい放物線が脳裏に焼きついている人も多いのではないだろうか。
あのゴールは、「限られた人にしか決められない」ものだろう。


長居に乗り込んだ広島は、苦境をもろともしなかった。
C大阪はジュルマーノが不在で、古橋がようやくベンチ入りした状態。広島はストヤノフと洋次郎の攻守の2枚看板を欠いたなかでの一戦となったが、両チームが揃えたタレントは、J2屈指のレベル。
両チームの攻撃陣が存分に力を示した一戦となったが、やはり広島のタレント陣が勝っており、チーム力には大きな開きがあった。


まずは、C大阪が躍動した。
A代表でもあり、北京のメンバーにも名を連ねた香川と、移籍してきてからすぐにレギュラーを射止めた乾が、技術の高さを存分に披露して広島を押し込む。
広島は、警戒しすぎていたのか慎重に立ち上がり、C大阪のタレントに局面で個人技を使う時間とスペースを与えてしまった。
香川と乾が交差した攻撃は、面白さと怖さが共存しており、あそこまで試合開始から押し込まれたゲームを、僕は今季記憶していない。


そして9分、右サイドでボールを奪われた広島は、カウンターを中途半端に待ち構えていた守備陣が小松の独走を許し、盛田がPA内でファウル、PKを与えてしまう。
しかし、これはキッカーアレーが枠を外してくれ一命を取り留めた。
昭大の存在感は、どんどん増してきている。
このPKは1つの転機になった。
C大阪は絶好機を逃しただけでなく、広島の目の色を変えさせてしまったのだ。


今季初先発の桑田がPA内に侵入しシュートを放つと、その後、寿人が別格の実力を見せ付けて前田と江添のCBを翻弄する。
面白いように裏を取られたCBの応対に目をつむりたくなるが、それ以上にキレキレの寿人は止められる選手ではなかった。
しかし、寿人はシュートだけをことごとく決められなかった。
山本の好守にあい、バーに阻まれ、こぼれ球を桑田が押し込んでネットを揺らすもオフサイド。
広島はビハインドを背負ったわけではないが、多くのチャンスを逃し続けたことにより、嫌な空気のなかハーフタイムを迎えることになってしまった。


後半、広島が引き続きC大阪を凌駕しそうな立ち上がりだった。
だが、52分に右サイドを駆け上がった柳沢と小松の見事なコンビネーションで左サイドを崩されると、小松の豪快な一撃を浴びて先制を許してしまった。
この失点は、ある意味事故であり、相手を賞賛すべき得点だったと思う。
だが、サッカーの掟に沿った、自分たちで招いた失点だった。


広島だけ、というわけではないが、このパターンに陥ると勝利はとても遠くに行ってしまう。広島のもっともな負けパターンと言ってもいい。
だが、この最悪パターンをつくった人物でもあるエースが、すぐに打ち破ってくれた。
3分後、寿人が振り向きざまに左足を振り抜き、同点となる。
「さすが」というのが僕の一番の感想だった。
それは難しいシュートを決めたからではなく、自分で責任をちゃんととったからだ。
だから寿人は、「エース」と呼ばれるんだと思う。
ただ、槙野の攻め上がりも見逃せないし、誰1人下を向かなかった選手全員がたくましかった。


広島は、自ら失った流れを自ら取り戻し、勢いを増幅させる。ここからは広島のショーになった。
そして63分。陽介のゴールが生まれた。
香川のボールを浩司がセンターサークル内で狙い撃ちし、奪う。
そのボールを拾った陽介は、すぐさま前を向いてドリブルを仕掛けるが、前には味方が誰もいなかった。
だがそれでも、アレーをかわして1人で前に突き進むと、5人の敵が囲った袋小路のなかから、ループシュートを放つ。
「GKが前に出ていたのはわかっていたし、シュートもイメージどおり。打った瞬間入ると思った」(陽介)。
見ているこっちも打った瞬間はいると思った美しい弾道は、山本の手をかすめもせずにネットに吸い込まれた。


このゴールは、「陽介」が結晶したゴールだと思う。
まず、陽介でなければ前に突き進まなかっただろう。無鉄砲ととれる選択でもある。
だが、陽介は無鉄砲に挑戦するからこそ、独特の強烈な輝きを放てるのだ。
もちろん挑戦するだけの根拠がある。
陽介は難題を解決する技術とアイデアを有しており、さらに、これが個人的には一番すごいと思うのだが、ピッチで表現できる能力も持っているのだ。
このゴールは、陽介の魅力が詰め込まれた「陽介スペシャル」だった。


陽介のゴールでリードを奪った広島は、古橋と新外国人カイオを投入してきたC大阪の攻撃を、難なくとはいかなかったが、退けた。
C大阪の攻撃陣は、広島と比べてもそん色ない力を持っていると思うが、広島の攻撃陣と違うのは、線としてつながっていないこと。
広島には個々を結び付けて威力を倍増させる3人目の連動性があるが、C大阪の攻撃には連動性が決定的に欠けていた。
守りにシフトした時の不安定さは拭い去れないが、C大阪の個を押し出す攻撃は、あまり怖さがなかった。


ゲーム終了のホイッスルと同時に、ペトロヴィッチ監督は今季一番のガッツポーズを見せた。
この1勝は、本当に大きな1勝になったと思う。
2位との勝ち点差は14に広がり、下はどんどん遠ざかっている。
今後続いていく直接対決も、まず第一候補を葬ったことで勢いがつく。
さらには、ストヤノフも洋次郎も戻ってきた広島は、もっと強い。


J1昇格が現実味を帯びてきた。
本当にそう思う。

2008年07月28日

J2 28節 vs横浜FC
久保が救ってくれた

エースは満身創痍だった。
陽介もまだコンスタントにいいプレーができるレベルではない。
洋次郎の疲労はプレーできるレベルまでは回復したが、全快ではない。
功の看板だけでなく、チーム全体が重かった。
横浜FCが良かったとはさっぱり思わなかったけど、いやな空気だった。
だが、ドラゴンが吹っ飛ばしてくれた。
出場2分後に、ファーストタッチで、あの跳躍で、チームを救ってくれた。
「そんな時が来るはずだ」ペトロヴィッチ監督ならずとも、みんなが想い、願っていたと思う。
久保が僕たちを救ってくれることを―


前半は、両チームとも非常にリアルに戦った。
広島は、あせらずボールを回してサイドチェンジを繰り返し、相手を走らせ穴を探していく。
しかし、いつもの躍動感がなく、相手を凌駕することはできなかった。
横浜FCは、広島にボールを支配されることに抵抗しようとはせず、ゾーンを下げて受け止めた。危ない場面はあったが、GK岩丸の好守もあり、前半を逃げ切った。
寿人のヘディングシュートが決まっていたらもっと楽なゲーム運びができたんだろうし、チャンスも少なくなかった。
悪くはない。だがその反面、ミスも目立ち、重苦しさが漂っていた前半だった。


後半は、1つギアが上がった。しかし、なかなかゴールの扉は開かない。
浩司のシュートをまたも岩丸に止められたあと、岩丸のミスを冷静さと高い技術で青山がロングシュートを沈めて先制するも、すぐ2分後に取り返されてしまった。
要所を締められず、自分たちのミスで悪循環にはまっていく典型的なパターン。。
ゲーム開始から続いている重苦しい空気は、時間の経過とともに膨らんでいった。


当然だが、同点に追いつかれてから、横浜FCの攻撃を受ける時間帯がやってきた。
ミスから失点するも、前節ゴールし勢いのある池元のスーパーなゴールで追いついたのだから、流れはどうしようもなく横浜FCにやってくる。
この流れに乗り、横浜FCは勝ち点3を取りに来たし、三浦カズの投入で、攻撃にアクセントが付き広島ゴール前を脅かした。


しかし、広島はこの時間帯をしのぐことができた。
昭大のパフォーマンスは絶品だったし、チームとして「今は耐える」と意思統一ができていたと思う。
ペトロヴィッチ監督も陽介に代えて桑田を投入し、運動量を保とうと試みた。いい采配だった。
この時間帯で失点しなかったこと、これがこのゲームの最大の勝因だと思う。
個々の奮闘とチーム全体の力で失った流れをせき止めることができた。
これはなかなかできるものではなく、「勝てるチーム」にはこういう強さがあるものだ。
広島は、それを見せてくれた。


そして77分、ペトロヴィッチ監督は寿人に代えて久保を送り出す。
寿人は、前日の表情もかなり暗かった。軽症ではなかったはず、よくやってくれたと思う。
久保がピッチに立った。
このタイミングは抜群だった。
横浜FCの猛攻もひと段落したところだったし、久保の存在がチームメイトに大きな力を与えたのは間違いない。


2分後、洋次郎が逆サイドの服部にグラウンダーのパスを通す。
この洋次郎のプレーは、すごかった。
あのキックの質と、あの時間帯にあそこまで見えていることに、驚かされた。
洋次郎らしい、とてもクレバーでアイデアのあるプレーだったと思う。
そのボールを受けた公太は、久保しか見ていなかったという。
確かに久保専用のクロスだった。
過去に何度も目にした、広島の必殺のラインが、また忘れられないゴールを突き刺してくれた。


それにしても、久保は久保にしかできないすごいゴールを決めてくれる。
なんかこう、見ているこっちの血が煮えてくるんだよね。そしてその後に、すごい幸福感がやってくる。
あの跳躍はまず誰にもできない。空中でひねりも加わっていた。
久保にしかあのゴールは奪えない。


このゴールが決勝ゴールとなり、広島は勝ち点3を獲得、4連勝を成し遂げた。
重苦しい一戦をチーム力と久保で勝った広島は、強さに満ち溢れていたと思う。いい勝利だった。
広島のサポーターにとっても、この上ない勝ち方だったと思う。
紫にスタンドを染めたサポーターの方々も素晴らしかったし、それに応えたチームも素晴らしい。
久保のゴールを目の前で見ることができ、久保とともに喜びを分かち合える。
これは広島サポーターの最大の特権だと思う。
またこんな日が来ることを、楽しみにしていよう。

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日程・結果

9/20 26節 vs柏(A)

9/26 27節 vs新潟(H)

10/3 28節 vs清水(A)

10/11 天皇杯2回戦

10/17 29節 vsG大阪(H)

10/26 30節 vs川崎F(A)