むらさき: 2008年06月 アーカイブ

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2008年06月 アーカイブ

2008年06月01日

内田の台頭。J2のこれから

31日に行われたトレーニングマッチ、レノファ山口戦は広島の圧勝だった。
「決めるところを決める」ことができていたら、いったい何点入っていただろうと思う。
守備陣も、自らのミスでピンチを招く場面があるにはあったが、まったく危なげなく完封。
今のチーム状態の良さがヒシヒシと伝わってきた。


スタメンは、2シャドーの一角にユキッチが入り、ボランチに洋次郎が入った。
ボランチ洋次郎には、チーム全体が攻撃的になり洋次郎の運動量も半端ないため、すごく可能性があると思う。
もともとボランチの選手だし、洋次郎の非凡なチャンスメイク能力はこの位置の方が生きるかもしれない。
今の洋次郎には充実感をすごく感じるし、選手起用のバリエーションがとても広がった感じを受けた。


ただ、ユキッチは厳しかった。
最後の最後になんとかゴールをもぎ取ったが、決定機をことごとく外し続け、チームの流れにも乗っていけず、止まってしまう場面も散見した。
疲れもあったのだろうが、今回のアピールのチャンスをものにしたとは言いがたいデキだった。


だが、60分から左アウトサイドで出場した内田は、とてもいいプレーを見せた。
はつらつと積極的に仕掛け、ドリブル突破を成功させて好クロスを送り好機を演出していた。自信をもってプレーしていたし、左足はとても魅力的だ。
このチャンスにしっかりとアピールしていた。
だが、広島のこのポジションはとにかく走らないといけない。走力の問題はあるし、守備面やポゼッション時の不安定さも拭えない。
ただ今後、これらの課題に取り組みパワーアップできれば、そびえ立つ公太の壁を乗り越える日が来るかもしれない。
近い将来、開花する予感を感じた。
この日はユキッチと内田にチャンスが与えられたが、明暗があまりにも鮮明だった。


2試合目のサテライト広島大学戦は、書くことがない。
清水のサイドプレーヤーとしての成長と、横竹のリベロを見れたこと(スリル満点だが)が収穫といえば収穫だろう。
シンを楽しみにしていたが、中盤の下がり目でプレーしていたため、らしさが見れなかった。コンディションは確実に上がっているだけに、残念だ。


では、もうネタがないので、昇格を争うライバルチームの現状を独断と偏見な主観で書いていこうと思う。
まず2位のC大阪。
7連勝を飾った彼らの力は本物だと思う。
開幕時はもたついていたが、守備力の上昇と共に攻撃陣が爆発し始めた。
攻撃陣のタレントは我ら広島をもしのぐものがある。
有能外国人ジェルマーノが元気にチームを操っている限り、大きく崩れることもなさそうだ。
このチームは、またどこかで窮地がやってくると思うが、そう簡単に負けが続くとは思えない。
広島とデットヒートになる可能性も高い。


よって、今季のJ2は3位争いが焦点になると思う。
今3位の湘南は、アジエル、斉藤、石原らがチームを支え、ベテラン加藤や若手の永田が絡んで、いいチームになっている。
前線のカードも豊富で後半に勝負できる懐の深さも備えており、菅野監督の采配で流れを変えられる強みもある。
ただ、アジエル影響力があまりにも大きい。
アジエルなき次節広島戦は、今後を占う正念場になるだろう。


仙台は、とにかく関口とリャンのチーム。
この2人を同時に抑えるのは難しく、ストライカーも小粒ながら数は揃っているので、攻撃力は確かだ。
ただ、悪い流れにチームが傾いた時に立て直す力が乏しい。
前半はいいサッカーで相手を圧倒しながら後半にやられる。この逆パターンもあり、安定した戦いができていない現状だ。
手倉森監督がどこまでの監督かはまだ計りかねるが、監督次第になるだろう。
(おそらくそこまでの器は持ち合わせていない思うけど)


あと3位を争うチームは、鳥栖、山形、そして3連敗してしまった横浜FCになると思う。
おそらく甲府の挽回はない。
この中では、鳥栖が一番可能性があるのでは。
岸野監督は思い切った精神の持ち主だから、彼の勝負勘がさえ続け、絶対的エース藤田が獅子奮迅の活躍を見せれば、十分昇格争いにくっついてくる力はある。
山形は、小林監督が限られた戦力でよくやりくりをしている。
現状でいっぱいいっぱいな感じを受けるから、連戦連勝は難しいと思う。
最後まで可能性を残せるかどうかは、豊田の復帰が起爆剤になれば、ないこともないだろう。
横浜FCは。
アンデルソンは確かにシュートはうまいが、1人でどうにかできるスーパーな選手ではない。
やはりもっと守備を強固にして、泥臭いゲームで勝ち点を拾っていくしかないだろう。
浮上のきっかけは、横浜FCは横浜FCらしく、圧倒的守備力を手に入れることができるかどうかだと思う。


広島の今後だが。
どのチームに対しても負ける可能性は低いと思う。
カズがタクトを握っている今のチームは、そう簡単には崩れない。
だから、寿人と浩司がどれだけ得点を積み重ねられるかにかかっている。
そして、久保をペトロヴィッチ監督がどう取り組むかだろう。
今のなかなか点が奪えないじれったい展開が続くと、我慢できなくなるゲームや不運なゲームが出てくる。
その可能性を極力減らすために、ゴールを奪うためにもっと力を割いた方がいいのではないかと思うのだが。


次週の湘南戦はアジエルが来ない。おそらく守ってくるだろう。
かなり強固な守備網を強いてくるだろうが、それを爽快に打ち破ってもらいたいね。
なんだか、不運な事故に襲われそうな予感がする。
そうならないためにも、なってもいいように、とにかくゴールを積み重ねてもらいたい。

2008年06月09日

J2 18節 vs湘南
久保が帰ってきた

74分に久保がピッチに立った。
出場2分後に浩司からのパスを受けると、久保は迷いなく左足を一閃する。
ドラゴンの放った一撃は、唸りを上げてシュート回転しながら、サイドネットに突き刺さった。
本当に興奮した。
あんなのを見せられたらね~。ガッツポーズが出ないはずもないし、人目を気にしてる場合でもないし、とにかくうれしかった。
おそらく、あのシュートの軌道は久保にしか描けないと思う。
久保が帰ってきたよ。
勝ち点3を獲得できたことも非常に大きなことだったが、久保がゴールしたということ、それもすさまじいゴールだったことが、このゲームでの広島が手にした最大の収穫だったと思う。


ゲームは、4分にイリヤンとのホットラインから奪った公太の得点と、12分の槙野の得点で広島は完全に優位にたった。
どした?と聞きたくなるほど湘南のCB山口の裏はだーだーで、広島は面白いようにチャンスをつくり、洋次郎が今までの鬱憤を晴らすかのような豪快なシュートを叩き込んで、3-0で前半が終了した。
湘南はアジエルの不在をリンコンに託し石原も孤軍奮闘頑張っていたが、それ以前にああも簡単にゴールを許しては、どうしようもない。


後半も広島がペースを握っていた。湘南が選手を入れ替えどうにかしようとしたが、それにも動じることなく、アオが洋次郎へのアシストに引き続き素晴らしいラストパスを送って、寿人が叩き込み4点目を奪った。
もう、完全な広島のゴールショーと化したビッグアーチは、久保登場、久保爆発、でお祭りになった。
このゲームを見ていなかった広島ファンの方々は、不幸な人たちだと思う。


だが、後味はとても悪かった。
ペトロヴィッチ監督も認めていたが、ユキッチと龍一の投入がリズムを崩してしまい、79分に石原に決められて完封記録を4試合で止められると、ロスタイムにもゴールを許してそのままタイムアップ。
お祭りムードをぶち壊されて、酔っていたのに、いきなり冷水をぶっ掛けられて無理矢理現実に戻された気分になった。
でも、そんなことはどうでもよくなるほど久保のゴールが素晴らしかったから、酔いが醒めることはなかったんだけど。


5連勝を成し遂げ、C大阪がこけたことで独走の足場を固めることができた。
「決めきれない」という難題を吹き飛ばせたことは、とても大きな自信になると思う。
だが、次節甲府戦に勝ってこそ、その力は本物になる。
最後の2失点は、「自分たちを戒める良薬になった」と言えるようにしてもらいたい。


甲府とは、もういろいろ相性が悪い。いいかげん小瀬で勝たなければいけない。
今季8節での甲府戦の敗北は、7節でC大阪に大勝した後だった。相手も絶不調状態と、今回と同じ条件が揃っている。
繰り返してはいけない。本当に気を引き締めなければならない。
このゲームは、単なる6連勝を賭けたリーグ戦の一戦ではなく、とても大事なゲームだ。


甲府はホームで移動なし。広島はあんなへんぴな所に行かなければならず、移動の負担がある。
さらには青山がU-23代表に招集された。一誠も負傷しており、誰かをコンバートしなければならない。
浩司を下げるのか、という気がするが、前線をいじりたくはない気持ちも強いはず。
ペトロヴィッチ監督がどういう選択をするのか、注目したい。
相手が前線からプレスに来ることが予想されるため、ボランチは非常に重要な役目を持つ。


ただ、そんなことがあろうとなかろうと、勝たなければいけない相手なわけ。
その気持ちが一番大事だと思うし、過信せずいつも通り戦えば、勝てる実力差がある。
今季、昇格とか優勝とかを度外視したら、一番勝ちたいゲームだ。
とにかく、「勝て、勝て、勝て」だね。
勝って、ホーム福岡戦を迎えよう。
またたくさんお客さんが来てくれると思う。
またお祭りをしよう。

2008年06月12日

J2 19節 vs甲府
ペトロヴィッチ監督に驚愕

すごい気持ちの入った戦いを見せてくれたと思う。
鬼門だった小瀬を突破できたことは、これ以上ない自信につながる。
このゲームで発揮した精神的強さを監督も選手も持ち続け、これから残りのゲームを戦ってもらいたい。

拝啓 
 ペトロヴィッチ監督

 甲府戦初勝利おめでとうございます。
 相当勝ちたかったんでしょう。それはすごく伝わってきました。
 甲府戦に勝利したことで、ペトロヴィッチ監督が就任してから、
 カップ戦も含めて3度以上対戦し勝っていない相手は、
 浦和と川崎だけになりました。(2度になると、柏と京都がある)
 この甲府戦で見せたような意地を、勝利への執着を、
 これからも一戦一戦見せてもらいたいと思います。
 甲府戦は、本当に僕の心に響くゲームでした。

敬具


まだ5日に合流したばかりの結城を起用し、広島は3バックを捨てた。
スタメンを見て、普通に結城がボランチに入るんだと思っていたし、マジで驚いた。
僕の記憶では、ペトロヴィッチ監督がゲーム前から3バック以外で臨んだのは、このゲームがはじめた。
これは、ギャンブルに近い戦法だったと思う。
十分に用意できたわけでもなく、行き当たりばったりの戦法でもあった。
ペトロヴィッチ監督は、こういうゲームへの臨み方、戦い方を、本来嫌う監督だ。
しっかりと狙いをもってトレーニングを積み、その成果を出すのがゲーム、という考え方を持っている。
ゲーム中の采配も、的を得ていた。別人だったのではないだろうか?
このゲームのペトロヴィッチ監督の采配には、本当に驚かされた。


いや、本当に素晴らしい戦術だったと思うのだが、ペトロヴィッチ監督はどうしてしまったというのだろう。
こんな戦術を用いてくるなんて、考えてもしなかった。
去年、どれだけ負けようと、どれだけ降格のプレッシャーにさらされようと、自分の哲学を貫き通した男が、一体どうしたのだと、どこか体でも悪いのか、心配したくなる。
本当になぜこんな結論に至ったのだろう。
心境の変化か?成長の証か?哲学が変わったのか?頭が柔らかくなったのか?
それとも、J2の他チームの監督がいろいろな広島対策を練ってくるから、たまには自分がやってみたかったのだろうか?


ここからは本当に推測になるが、
おそらく、こういう思い切った策に出ることができたのは、ペトロヴィッチ監督に余裕があるからだと思う。
昨季の負けが込んでいた時(今さら具体的は書かないが)、ペトロヴィッチ監督の視界は、すごく狭かった。
自信のある戦い方に「こだわる」「貫く」というより、「すがる」しかなかったのだ。


昨季は、序盤はまったく考えてもいなかっただろう、切迫した「落としてはいけない」というプレッシャーに急遽さらされることになった。
なぜだ、なぜなんだ、と考えているうちに、ドツボにはまっていった。
今季は、「J1に上がらなければいけない」「勝たなければいけない」というプレッシャーを背負って戦っている。
もちろんこれも、非常に責任の思い任務だが、覚悟をもって臨み、今までは十分な成績を残している。
新しいことに挑戦する。ギャンブルに出る。そんな余裕があるのだ。


このゲームは、ペトロヴィッチ監督の成長を示していると思うし、選手たちはいろいろな戦い方に対応できるほど成熟した、駒が揃った、というペトロヴィッチ監督の自信の現われでもあると思う。
甲府戦は、1つの転機になるのではないだろうか。そんな気がする。
指揮官の提示した戦術に選手たちも少なからず驚いたと思うが、それを見事にやってのけ、泥臭く身体を張って勝利を収めてくれた。
このゲームでは、監督に選手に、うるおしさを感じた。
こんなゲームもできるのだと、ペトロヴィッチ広島は2年以上経っているのに、僕は驚愕したよ。


次節福岡戦だが、ペトロヴィッチ監督は従来どおりの戦い方に戻すだろう。
最終ラインからポゼッションして主導権を握り、2シャドーや両サイド、ボランチも攻撃に絡んでゴールを目指していくはずだ。
いつものように、広島は広島らしく、ペトロヴィッチ監督の志すサッカーで勝ちにいく姿が見られると思う。
福岡は、前回対戦の0-3の大敗もふまえて、広島対策を練ってくるだろう。
前節は大敗しているが、それまで3連勝を飾るなどチーム状態も上向いている。
どんな策を用意してくるか、チームは蘇っているのか、注目したい。


2位との勝ち点差は7に開いた。いよいよ広島の独走状態だ。
ただ、こんなことで満足するつもりはまったくない。
一戦必勝の構えで臨み、さらに差を広げていってもらいたい。
これからは1人旅。相手を気にすることもなく、目の前の敵を倒していけばいい。

2008年06月16日

J2 20節 vs福岡
あってはならない

前半を見終えて、僕は福岡の戦い方に非常に好感を抱いた。
弱者は、ああでもしなけば強者に勝つことなんてできない。
サッカーで勝負していては、福岡は広島に勝つことなんてできない明白な力の差がある。
戦術や技術で立ち向かっても、勝てるはずがないのだ。
だから、あそこまで開き直ってサッカーを壊し、なりふり構わず戦った福岡は、このゲームに勝つためにできる限り最善のことをしたと思う。
挑戦者として、(かなり汚いプレーが多かったが)僕は福岡の姿が好きだ。


広島は、今そういう立場にいると思う。
こんなことを言ってはすごい語弊があると思うが、広島は現在「世界チャンピオン」だ。
それぐらいの強さを、個人の技術やチームの戦術も含め、持っていると思っている(この世界では)。
だから挑戦者は、チャンピオンのベルトを剥がそうと必死の形相で向かってくる。当然のことだ。
相手を上回る武器を持っていないのだから、ラフファイトもしてくるだろう。
「フェアに戦ってくれ」なんて言っても、相手はベルトが取れればいいのだ。
福岡がやってきたことは、まさに挑戦者そのものだった。
チャンピオンは、そんな相手であろうと、確実に、圧倒的な技術でパワーで、相手を倒して防衛していかなければいけない。


終了間際に同点に追いつかれた。
粘りに粘ってなんとか最終ラウンドまで立っていた挑戦者に、ラッキーパンチを食らって沈んでしまった。
こんなこと、あってはならない。
それまでに確実に心を折り、点差を広げておかなければならない。
そして、ラッキーを食らわないよう注意を怠らず、その可能性すら与えてはいけない。
ポイントでは明らかに広島だった。
だが、サッカーに判定はない。あるのは90分後のスコアのみだ。
これまでの苦労を、すべて水の泡としてしまうなんて、あってはいけない。


「事故に遭ってしまった」という割り切り方もできると思う。
サッカーでは良くあることでもあると思う。
だがちょっと待て、広島は事故に遭いすぎだ。
今季は12失点中、5失点を80分以降に喫している。勝ち点を4失った。昨季は、18失点を80分以降に喫した。(考えたくもないものを失った)
これほど多くの事故に遭遇しているのだから、絶対にこちらに原因があるのだ。
チームに蔓延している課題だと捉え、軽視すべきではない。


解決案は1つではないと思うが、ピッチに立っている選手は最後まで集中力を失わず、状況を的確に判断して責任をもってプレーしなければならない。
状況判断は、個々の経験によって積み上げられていくものだと思うが、広島はそんな経験をたくさんしているし、若いチームではない。
(これ以上のこんな経験は、勘弁願いたい)
チームでどう終盤を戦うか、意思統一がもっともっと必要だ。
監督をはじめ、カズやイリヤンがリーダシップをとり戦い方を明確にすればいい。
逃げ切るための策を用意しておくことも考えるべきだと思う。


福岡の挑戦は素晴らしかった。それに報いる一発を叩き込んだ田中の美技を、まずは賞賛したい気持ちもある。
だが広島は、こんな「世界」で、こんな挑戦者に、歓喜を与えてはいけない。
広島はもっときちんと叩かないといけないレベルにあり、使命を背負ってもいる。
こんな結果を与えてしまったため、今後あんな挑戦者がどんどん沸いてくるかもしれない。
サッカー界の未来にとって、それはいいことではない。
あんな手段をとってくる相手には、正当な手段でボコボコに叩きのめして、猛省させ改心させなければいけないのだ。

2008年06月22日

J2 21節 vs水戸
ゴールを奪うために

寿人の不在や、木寺の試合中のケガ。いろいろなアクシデントが起きながら、笠松で連勝していた水戸に勝てたことは、価値あることだと思う。
福岡戦で連勝も6でストップしたばかりだったし、この勝利を引き寄せてくれた龍一は、本当に大きな大きな仕事をやってのけてくれた。


寿人は、ペトロヴィッチ監督が就任してからの公式戦92試合で、3試合しか欠場していない。それも出場停止と代表遠征のため。絶対に欠かせないエースであり、チームの牽引している選手でもある。寿人の不在は、広島にとって緊急事態といえる状況だった。


絶対的な攻撃の核を欠いたペトロヴィッチ監督は、洋次郎、陽介、浩司の3人を前線に置いた。ゼロトップといえばいいのだろうか。
この選択は、ペトロヴィッチ監督の思考をよく現していると思う。
走れて技術の高い選手を好み、ゴールはチャンスの延長線上にあるという絶対的な考え方だ。
久保や龍一ら、チャンスの創出よりも最後のゴール前で能力を発揮する選手を、ペトロヴィッチ監督はベンチに座らせた。


このシステムが機能していたかといえば、僕はそうは思わない。
可能性はあると思うし、陽介のプレーレベルがもっと上がってくれば面白いとは思うが、それ以前に、僕はサッカーには役割分担が必要なのではないかと思う。
ゴールの扉をこじ開けるには、チャンスを作る能力とは違う特別な能力が必要なのだ、と個人的に思っている。


龍一はまずゴールに突き進み、久保は特化した能力を最大限に生かし、ゴールを奪うためにプレーしている。
彼らの頭にあるのは、まずゴールすることだ。そのための逆算から他のプレーを選択している。
ただ、どうだろう。
洋次郎は、いろいろなことができる。
パスやドリブルなど高い技術と豊富な運動量を駆使して面白いように決定気を作り、守備にも走れる。水戸戦のデキも秀逸だった。
ただ、洋次郎の頭の中にあるのは、まずゴールではなく、まずシュートチャンスを作ることではないかと思う。


この龍一と洋次郎の最初の目的の違いは、僅かではない大きな違いがあるのではないか。
まず結果に対する満足度が大きく違うと思う。
もし、龍一が絶好のチャンスを迎えるも、シュートをミスしてしまったとしよう。
龍一は、ミスした自分を責め、満足度はかけらも抱かないはず、当然だ。
こういう意識は、ゴールを奪うためには欠かせない要素だと思う。
だが、洋次郎にもし龍一と同様のシュートチャンスがきたとする。そしてミスをしてしまったとする。
洋次郎は、もちろんシュートミスを悔やむだろう。
しかし、相手を崩したこと、チャンスができたことに、満足感を少なからず抱くのではないだろうか。


誤解してほしくないのは、洋次郎が悪いというわけではないこと。
洋次郎に龍一と同じ意識を持てといっても、目的意識の根本が違うので無理だと思う。
流れている血が違うというか、職種というか、勝負所が違うのだ。
僕は、龍一が決定機を逃した場合、責める。
龍一の仕事はそれを決めることなのだ。龍一も、もちろんそれをわかっていると思う。
だから龍一は、ゴールに執着しているし、結果と数字で満足度が明らかに違うのが、見ていてよくわかる。
僕は、龍一のようなゴールを奪うことを仕事とし生きている選手が、GKと同じくらい11人の中に1人は必要だと思う。


寿人のすごいところは、洋次郎の仕事もしながら、龍一の精神を持っているということ。
だから、ペトロヴィッチ監督の下で、絶対欠かせない選手になっている。
確かに以前の寿人に比べれば、ゴール前でのこだわりが減り、得点数やゴールへの強い意識が少なくなっているように思う。
(僕は今の寿人よりも、以前の寿人の方が好きだ)
だが、プレースタイルは変化してもゴールへの責任はしっかりと持っている。
ここが寿人のすごいところであり、ストライカーとしての血が流れているということだろう。


これから、苦労するゲームが多くなると思う。
洋次郎や浩司がゴールを決めてくれば、楽にゲームを進めることができると思うが、彼らがやらなければいけないことはとても多い。
ゴールに対する責任をも背負えというのは、酷ではないだろうか。
ゴールの責任は、寿人をはじめ龍一や久保に背負ってもらった方が、役割が明確になり、それぞれが自分の得意な力を存分に発揮できると思うのだが。


チャンスを多く作った方が、得点が増える確立は上がる。それは間違いない。
ただ、サッカーはチャンスの数を競うスポーツではない。
チャンスを得点に結び付けなければ、意味のないスポーツだ。
ゴールすることに対してもっと直接的な戦法もあると思うし、ゴールを奪うことにもっともっと力を傾けてもらいたい。


今回は、非常にネガティブな原稿になった。
ペトロヴィッチ監督や洋次郎の批判ではないことは、理解していただきたい。
この水戸戦で、ペトロヴィッチ監督がこのシステムで挑み、こういう結果になったから書いたわけでもない。
今季が始まり、ここまでの戦いを見ていてずっと思っていたことを書いた。
リーグトップの38得点を奪っているチームは、しっかり結果を残していると思う。
ただ僕は、こうした方がいいのではないか、という1つの意見を書かせてもらった。


洋次郎がゴールを奪える選手になれば、とんでもない選手になる。
ペトロヴィッチ監督は、そうなってくれることを期待していると思うし、そうなれる能力があると信じているのだと思う。
僕も、とても期待している。

2008年06月26日

J2 22節 vs徳島
目的を間違えるな

ちょっと我慢ならない。
今年はどんな形でも勝てばいいと思ってるし、90分後に勝っているならその結果だけに満足を得ようと自分に言い聞かせてる。
ただ、なんでカズを下げたんだ?
これはどうしても納得がいかない。


後ろから数的優位をつくるため。それが一番の原因だったようだ。
最終ラインからの攻撃参加は、相手は捕らえられず守備網に穴が開き、心も砕ける。広島は厚みが増して勢いを生むばかりか、結果も出ている。
今季、非常に有効的な武器になっている。
だが、森脇が負傷しており、盛田もまだ戻ってこれない。結城はまだ攻撃面で連携を積んでいく必要がある。
よって、ストヤノフと槙野と誰にするか、ということでカズに白羽の矢が立ったのだろう。
守備面での心配よりも、引いてくるだろう徳島をどうやって崩してゴールを奪うかを優先したわけだ。


確かに、理解できない選択でもない。
だが、この日のカズはどうだった。僕の目にはカズのプレーは今季もっとも悪かったように映った。
広島はどうだった。徳島に先制を許す失態を犯した。
リズムよくパスがつながらずに相手に主導権を奪われ、先制される2分前にはカズが相手と1対1になるカウンターを受けた。
こんなこと、今までなかったはずだ。


広島がここまで勝ち点を稼いでいる理由はたくさんある。寿人が引っ張り洋次郎が台頭して生まれた1トップ2シャドー。ストヤノフが君臨し、槙野が闘い、チームにハードワークが根付いた守備。後ろからの全員攻撃参加や、選手層の厚さ、ゲームをコントロールする我慢強さ、セットプレーからの得点、などなど。


だが、一番はどう考えてもカズだろう。カズが戻ってきてからは8勝1分1敗。この結果も素晴らしいが、それ以上に、ゲームの内容が飛躍的に安定し相手に隙を与えなくなった。
負けゲームは、カズが戻ってきてから10戦(復帰戦の熊本戦はよろしくなかったが)1つもない。
カズが攻守のバランスをとり、カズがチームに落ち着きを与え、カズが身体を張ることで、攻撃陣は躍動でき、守備陣の負担が減った。ゲームをコントロールしていたのもカズだ。
なぜそのカズを、ペトロヴィッチ監督はピッチの中央から動かすのだろうか。
僕は理解に苦しむ。


陽介の先発にも触れたい。
陽介は徐々に状態は上向き、プレーレベルが上がってきている。
第一に運動量が戻ってきてハードワークができるようになり、この日も陽介らしいドリブルで相手を抜いたり、スペースへフリーランニングしたり、というプレーを見ることができるようになった。
あとは、ゴール前での精度や駆け引きの部分が戻ってくれば、完全復活といってもいいと思う。
今の広島に10番の輝きが加われば、より僕らを魅了してくれるだろう。


だがだ、前節チームを勝利に導いたのは、後半から陽介に代わって入った龍一だった。
それは間違いない。今節先発で出場すべきは、僕は龍一ではないかと思う。
陽介のコンディションを上げるために、そのために「陽介をピッチに立たせる」という手法は、特別待遇は、諸悪の根源になりはしないだろうか。
陽介は、このチームで特別待遇されるほどの結果を残してはいない。(あくまで僕の意見だが)
寿人がそういう待遇を受けるのなら、僕は口を挟まないだろう。


監督に決定権があり、監督それぞれに好みがあるのは当然だ。
だが、チームの勝利ための一戦であって、個人のための一戦ではない。ここは絶対に取り違えてほしくない。
ピッチには11人しか立てない。誰かがベンチに座り、誰かはスタンドで観戦しなければならない。
この競争は、目前の一戦のチームの勝利をまず第一に考えるべきではないかと思う。
そういう健全な競争こそが、チーム全体をたくましくさせるのではないだろうか。
僕は、リーグ戦の1ゲーム1ゲームを、必勝の構えで、勝つために最善の策を注ぎ込んで戦ってほしいと、強く願う。


なんか、最近文句ばっかり言ってるようだが、20ゲームを終え勝ち点48を獲得し、2位とは10の差が開いた。
素晴らしい戦績だと、本当に思っている。
この徳島戦も、指揮官のプランはまったくうまくいかなかった。だが、選手たちは慌てることなく、先制されても動じず、自分たちのやるべきことを実行して今季初の逆転勝利を掴み取った。
選手たちの修正能力や応用力は、確実に増している。
そして、チームに芽生えている自信も、確信に変わりつつあるように感じる。
勝利を続け、勝ち点が2位とどんどん離れようと、慢心というのもを感じない。勝利に対する執念をしっかりと感じ取ることができる。
J2はまだようやく半分を迎えたばかりで、まだ何も成し遂げていないが、チームはJ2のその先を見据えて、現状に満足せず戦っていると思う。


だからこそ、指揮官にはしっかりとチームを導いてもらいたい。
目的を間違えてはいけない。

2008年06月30日

J2 23節 vs山形
結果を残していく力

山形の地で、広島は敗れてしまった。
5分にストヤノフのFKで先制するも、前半終了間際に同点に追いつかれ、84分に決勝弾を長谷川に鮮やかに叩き込まれて、10試合ぶりの黒星を喫した。
1つ引き分けを挟み8連勝できていたが、いつかは負けるもの。その負ける時の条件が、たくさん当てはまっていたゲームだったと思う。


山形は、2位に位置しているだけのチームだった。
ハードワークをチーム全体で行い、ストライカーや左サイドやCBなど、要所に武器を持っていた。
なにより自信と勢いを有していた。
豊田が復帰した今後も、山形は勝ち点を稼いでくるだろうと思う。
小林監督はいいチームをつくっている。


そして、山形以外の敵とも戦わないといけなかった。
ピッチコンディションや連戦の疲労は相手も同じだし、遠距離遠征も言い訳にはならないが、身体的な負担は相当かかっていたと思う。
ここ数ゲーム絶好調だった洋次郎もキレを欠き、寿人も疲れの色は濃かった。チーム全体がとにかく重かった。


さらに、突き放せなかった。
チャンスはあったが、決めることができないまま時間は経過していった。
この問題は今に始まったことではないが、この課題が顕著に出た。


集中力が切れていたとは思わないが、終盤に失点した。
これもずっとずっと抱えている課題だ。


真正面から向かってきた相手は今まで以上に強く、自分たちのサッカーを表現するには難しい条件が揃っており、チャンスを決められない。最後にやられる。
これだけの要素が揃えば、敗戦もいたし方あるまい。


ただ、こういうゲームを勝ちきる力。いや、引き分けに持ち込む力でいい。底力を見せてもらいたかった。
厳しいゲームではあったが、負けはいけない。
今後、調子の波が下降するときもあるだろう。アクシデントが起きるゲームもある。
そういうゲームでも結果を残していく力が、絶対に必要になってくる。


その力とは、やっぱり1人1人の頑張りなのだと思う。
疲れがたまっている身体では、当然ミスが起きる。思い通りのサッカーができずにイライラし、リズムは生まれなくなる。走ってもボールが来ず、空回りし始める。苛立ちは募り、足が止まる。
そういう時こそ、局面でそれぞれが状況や条件を考えチームのためにプレーして、悪い流れを断ち切らないといけない。
ミスを身体を張ってカバーする。ボールを失わない。長い距離を無駄に走る。大声を出す。
個人の頑張りがチームの力に変わり、1+1以上の力を生むのがサッカーなのだ。


ベンチも含めて、チーム全体で戦っていくことも必要だろう。
先発11人では流れが変わらないこともある。
山形戦の選手交代は、明らかに遅い。
柔軟なベンチワークと途中出場の選手の活躍は、今後も絶対欠かせない要素だ。
ペトロヴィッチ監督にはこのあたりの手腕に「?」がずっとついて回るが、ゲームの流れを見極めて、交代を恐れず実行してもらいたい。
すべてが当たるわけがない。ただ動かなければ、当たりも外れもない。
動かないのも1つの采配だが、選手がいないわけじゃないじゃないか。
スーパーサブ的な存在を、意図的に作っていくことも大事なことだと思う。


山形戦の敗戦は、起こるべくして起きたと思うし、この敗戦を糧にして悪かったところを見つめて一段ステップを登ればいいと思う。
まだ何も決まっていなければ、ここまでよりこれからの方が難所は多いのだ。
折り返し地点で横っ面を叩かれたのは、目を覚ます意味でも悪くはない。
ただ、ペトロヴィッチ監督がよく言うような「サッカーだから」という捉え方はしてもらいたくない。
きっちりと分析し、繰り返さないように残りの1/2を戦ってもらいたい。


次節は、1つの正念場になる。
とうぜん連敗をしてはいけない。
こんなところでつまづくわけには行かないし、J2を面白くする必要などまったくない。
ただ、次節はなかなか厳しい条件が揃う。
熊本は最下位に低迷しているが、ここ3戦は鳥栖に0-1の接戦を演じ、仙台とは0-0の引き分け、C大阪に3-2で土をつけた。
終了間際の勝ち越し点や木島の2ゴールなど、勢いがつく勝ち方もしている。油断ならない相手だ。
そして、ストヤノフが出場停止でいない。


ここを乗り切れるかはシーズンのターニングポイントになると思う。
次節の勝敗は、その後の数ゲームの勝敗をも左右し、勝ち点に大きな影響を及ぼすことになるだろう。
チーム全体で立ち向かい、乗り越えてもらいたい。

広島らしい「自分たちのサッカー」ができればいいが、そんなことよりも負けないことの方が重要だ。
10のチャンスを作るよりも、2点を奪うことを考えるべきだろう。
寿人、カズ、浩司ら核の選手の活躍に期待したい。

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日程・結果

39節 vs湘南(H) 2-0


天皇杯 3回戦 10/12
 vs大阪体育大学(秋田)

41節 10/25 vs鳥栖(H)

天皇杯 4回戦 11/2
 vs東京V(西が丘)

42節 11/9 vs仙台(A)

43節 11/22 vs草津(H)