駒野の移籍が決まった。15日に会見を行い、正式に移籍を発表した。
広島残留か磐田か神戸への移籍の間で揺れていたが、磐田から話を聞いた翌日8日には決めていたという。
その理由を、「『高いレベルでサッカーをしたい。J1で優勝争いをしたい』想いは、天皇杯決勝の舞台に立ったことでより強くなった。磐田は今やっているサッカースタイルに似ているし、厳しい競争の中で自分もレベルアップできる」と話した。
この1ヶ月間、広島への愛着、J2に落とした責任、ペトロヴィッチの続投もあり、移籍か残留かで迷った。「複雑だった」と心境を話し、「今は磐田で頑張ろうという気持ち」と穏やかな表情で会見は行われた。
そして、「広島でさまざまな方々にお世話になり支えてもらったから、今の自分がある。感謝しています」とユース時代から11年間過ごした広島へ感謝の気持ちを述べて、別れを告げた。
駒野ほどのプレーヤーがJ2の舞台で戦うのはふさわしくない。代表もある。
だから、移籍という決断を下した駒野を「裏切りだ」と責める気持ちには、僕はなれない。
ただそうはいっても、残ってほしかった。「残ってくれるかもしれない」希望を最後まで捨て切れなかった。とても残念だ。
でも、これがJ2に降格したということだろう。
駒野は「降格していなかったら移籍はなかったと思う」と話した。
「来季はJ2」という現実を、僕は徐々に受け止めはじめてきていたけど、J2に落ちたことの意味を、痛感させられた。
悔やんでも悔やみきれない。僕たちは、駒野を失ってしまったんだ。
吉弘も移籍を決断した。札幌への完全移籍。
吉弘も非常に悩んでいた。広島で結果を出したい気持ちは強かったと思う。
僕は、将来広島を支えるDFとして期待してきた。「そうなるだろう。そうなれる。そうなってもらわないと」と思っていた。
だが、昨季の出場機会が与えられない悔しい姿をずっと見てきたので、彼の移籍も致し方ない決断だと思ってしまう。
今季は昨季より出場機会はあっただろう。だがレギュラーになれるかどうかは、彼次第。
新たな環境で挑戦する。新しいめがねで自分を見てもらう。
吉弘にとっては、サッカー選手として必要な挑戦なのではないかと思う。
この転機をしっかりといかして、頑張ってほしい。
ただ、もう1人他クラブから正式オファーを受けていた陽介は、残留を決断してくれた。
サッカー人生は短く1度しかない。陽介も迷いに迷ったと思う。
だが、僕は陽介が下した決断は絶対間違っていないと思う。
陽介は気持ちでプレーする選手。
身体能力が高いわけではなく、頑張って走れることが特徴の選手。攻撃のアイデアも気持ちが沈んでいては浮かんでこない。
監督との信頼関係や、プレーすることへの目的意識で、パフォーマンスは大きく左右される。
まだ若いからでもあると思うが、陽介という選手は、そういう選手だと思う。
陽介は、もう一回り二回りたくましくならないといけない。
だから残ってよかったんだ。
広島には絶大な信頼関係を築いているペトロヴィッチがいるし、来季はJ1復帰が至上命題の目標を主力として背負う厳しい戦いが待ち受けている。
精神的に大きく成長できるのは間違いない。
J2で戦うことは遠回りではないはずだ。
得るもの、この一年を経験することでしか得ることのできないものは、必ずある。
それは今後のサッカー人生をおおいに助けるはずだ。
そして、陽介はまだまだ広島でやるべきことがたくさんある。
今オフシーズン、織田強化部長は「選手を残すことが第一」として、選手の引き留めに尽力してきた。
結果、駒野と吉弘はチームを去ったが、「予想以上にみんな残った」(カズ)というのが、僕の感じるところでもある。
駒野の穴は本当に痛い。戦力ダウンはどれほどになるか、少し想像できない。埋まるものではないだろう。
だが傷を最小限にとどめ、大打撃とはならなかったのも事実。
合格点とはいえないが、「できることはした」というのが本音であろう。
だが、評価を下すのはまだ早い。戦力補強、プラスアルファがまったくない。
ウェズレイの代わりはまだ見つかっておらず、近日中に発表となる見込みのようだがどういった選手が来るのかで、評価は大きく左右される。
「ワールドワイドに探しており候補を絞って交渉中」とのこと。
まったく予想ができない。発表を楽しみに待ちたい。
残りの外国人枠は、ストヤノフとダバツの残留が濃厚だ。
また、日本人の補強もまったく進んでいない。苦戦を強いられている。
松橋(神戸に決定)と坪内(札幌に決定)の2名には正式オファーを出し獲得を試みたようだが、「J2のクラブなので難しい」獲得には至らなかった。
駒野の離脱に伴い、ぜひサイドプレーヤーを加えたいところだが、現実的には難しいかもしれない。
駒野と吉弘の移籍金が生まれたことで、金銭面では多少の額を提出できるようになっただろうが、誰でもいいわけではない。
織田強化部長の手腕、広島のクラブの本気の熱意が試されることになる。
選手は足りていない。サイドプレーヤーの獲得は絶対必要だ。
25日から広島は練習をスタートする。
08年の目標、『J1に一年で復帰する』ために戦っていく陣容の骨格は見えてきた。
昇格を目指して戦っていくだけの戦力は維持したといえるだろう。
だが、そんなに甘いリーグではないことは明白。
ペトロヴィッチのサッカーをどこまで具現できるか。
選手たちの成長は不可欠であり、チーム力の底上げも絶対だ。
トルコキャンプ、宮崎キャンプは、一年を左右する大事な時期になる。
08年、再スタートを切る広島は、今後うん10年の未来を左右する大事なシーズンを迎える。
まさに、クラブの命運を分ける「勝負の年」が始まる。