降格という文字を、現実として受け止めなければならなくなった。
それを避けるために、残り8ゲームは存在する。
これが現実だ。
残留争いの先頭集団を突っ走った昨季と比較してみても、今の状況はいいとは言えない。
昨季は、26節終了時点で26の勝ち点を奪い、15位につけていた。
今季は29の勝ち点を獲得して順位は同じく15位だが、道のりが違う。
昨季は夏にペトロヴィッチ就任という起爆剤を得て、上昇気流の中で後半戦の勝負どころを迎えたが、今季は前半戦で奪った勝ち点がこの順位を支えてくれている。ジリ貧だ。
6月からの13ゲームで勝ち点8。この事実は重い。
残留するためには、最低でもあと10は勝ち点がほしい。
残り8ゲームで勝ち点10。やらなければならない。
そのために、今の広島にとって、もっとも必要なものはなんなのだろうか。
ペトロヴィッチは、現在のサッカーを変えないと断言した。
システムや選手を変えないということだ。
負けている時はいじりたくなるものだが、この信念にはもはや感服するしかない。
甲府は2トップを試み、神戸は大久保をFWに起用して連敗を脱出したが、変えればいいというものではないことも確か。
負けるところころ変えてしまい、それが逆の影響を及ぼすこともある。
変えないということも、ここに来ては1つの大きな変化といえるだろう。
これが英断であったかは、この立場に立ってしまった以上、結果でしか示されない。
この決断を、僕は尊重しようと思う。信じようと思う。
なぜなら、広島に必要なのは、まず信じることだからだ。
クラブは監督を信じている。トップに位置する監督が、ここまで選手を信じ切っている。
だから選手たちは、チームメイトを信じ監督を信じることから、まずはじめるべきだ。
そして、サポーターもチームを信じて、一体感を出して戦うべきだと僕は思う。
残り8ゲームしかない。
みんなで一丸となれば、残留というハードルは広島にとって高いものではないと思う。
チーム状態は、一時期のコンディション不良というどうにも手の打ちようのない状態からは脱しつつある。
前節甲府戦の敗戦を引きずっている選手もいないように見えた。
危機感をつのらせ、プレッシャーを感じているのは当然だろうが、これは昨季も経験しているし、下を向いている選手はいないはずだ。
自分たちのサッカーという、やるべきことがはっきりしているのも大きいと思う。
やらなければいけないことは、整理できているはずだ。
鹿島と戦うという戦術的視点で見れば、不安要素を少なくない数を見つけることはできる。
だが、そんなものも無視していいと思う。敵は相手ではない。
どれだけ自分のやらなければならないことをできるかだ。
彼らはプロだ。それを示してもらいたい。
いまさら、コミュニケーションだとか、コンビネーションだとか、そういうなまぬるい問題ではないと思う。
個人個人が責任をもって、勝つこと。これに尽きる。
広島というクラブの命運は、ピッチに立つ11人が握っているんだ。
今必要なことは、信じること。そして責任を持つことだ。
1人が負けることでチームが負ける。1人が勝つことでチームが勝つんだ。
その勝負に勝つという前提で、選手たちは次の行動をとればいい。判断を下していけばいい。
信じるとはそういうことだと思う。責任を持つということも、そういうことだと思う。
カバーに走る必要性はある。負ける時もあるだろう。
だが負けなければ、カバー行く必要なんてないんだ。
まず、そういう気持ちでプレーしてもらいたい。
後もう1つだけ、残り8ゲームで重要な要素がある。
それは采配だ。
ゲーム前に信念を崩さず、自らを貫くのはいい。
ただ、ゲーム中は予期せぬことも起こる。その状況状況で改善しなければ、勝ち点を奪うのは難しい。
選手の判断では限界がある。
監督が冷静な視点でゲームを分析し、最良の手を打たなければならない。
それに選手が応えることも大事だ。
采配という要素は、勝ち点に大きく影響するだろう。
鹿島。現実的に勝つのは難しい相手だが、勝てない相手ではない。
当たり前ではあるが、「気持ちの部分でいくらでも変えることはできると思う」(佐藤)。
気持ちが上回らなければ、話にならない。