シーズン当初は、陽介がオリンピック代表に名を連ねるとは、そうなればいいなという程度の希望でしかなかった、けどいまや大注目選手、救世主扱いだ。もちろんアオも立ち上げ当初から名を連ねている。
駒野はオシムのチームの完全レギュラーで、寿人はこれまで招集から漏れたことがない。
今回の両チームの遠征にも、4人ともお呼びがかかりチームを離れていった。
今シーズンの広島は、代表に選手が取られるという状況にかなり苦しめられている。
もう、「代表に選手が取られ難しい」はペトロヴィッチの口癖にもなった。
とくに6月入ってから、漏れることなくついてくる各カテゴリーでの代表マッチのスケジュールはすさまじく、2勝7敗2分という散々な成績となって広島は煽りを受けたのだから、ペトロヴィッチの言い分も、わからなくはない。
駒野と寿人はリーグ戦全試合に出場を続けてくれてはいるけど、とくに駒野はそれだけで奇跡に近い。
最近浦和の阿部が離脱したが、いつああなってもおかしくないほどに、追い込まれていると思う。
アオも、今シーズンは常にコンディションとの戦いだ。
シーズン序盤からベストの状態で臨めたゲームは数えるほどしかないだろう。
陽介も、オシムに呼ばれ、トゥーロンでフランスへ行き、カナダでU-20W杯を戦い、今回はサウジアラビアへ旅立った。
もう今年だけで地球を一周しそうな勢いだ。
「疲れているか?コンディションは?」とかいう質問は、もう聞く必要さえない。
代表に招集されることは、悪いことではなくて良いことだと思う、基本的には。
事実、W杯やオリンピックに広島の選手がいないと、さびしく感じる。
だが、こうもシーズンに影響を受けてしまっては、ペトロヴィッチでなくても、文句や嫌味のひと言ふた言はいいたくなる。
クラブと代表は、僕にとっては平日と休日のようなもの。
日々の平日が充実し楽しいからこそ、休日も楽しめる。
平日がうまくいかなければ、休日が鬱陶しくさえなってくるんだ。
もういまや、代表で強い日本は見たいが、それは4年に一回でいい、という人が多いと思う。
別にアジアカップで優勝しなくても腹が立たないしニュースにもならないが、W杯の出場を逃したりすると、頭にくるどころではなく、日本サッカー沈没とさえ騒がれかねない。
オリンピックにも出場してほしいが、自分のクラブの選手が出ないなら別に興味がない、という人も多いだろう。
選手は人それぞれだろうが、やはり代表チームには大きな意味を見出している選手が多いと思う。
一時ほど海外志向を選手の口から聞く回数が少なくなったとは思うけど、依然それは強いはず。
そのためにも代表は欠かせない資格になるから、ぜひともチームに入り結果を残したいと意気込むのは当然だろう。
クラブと代表の関係は、今に始まったことではないが、その価値観が変わってきているのは事実だ。
それは、選手にとってより、周りの人々にとって大きく変わったと思う。
青いユニフォームのブランドがどんどん弱くなり、自クラブがとても愛おしくなった。
闘莉王を味方ではなく、敵と思っている人の方が圧倒的に多いはず。
巻を崇拝している人より、ウェズレイやワシントン、ジュニーニョを神と思っている人の方が圧倒的に多いはずだ。
自クラブの敵は敵。日本代表より自クラブの選手がアイドルになっていると思う。
で、いいたいのは広島のこの中途半端な順位と代表選手の多さだ。
必ずしも比例するべきだとはいわないが、ここまで開きがあるのは納得できない。
まあ、その理由はわかる。広島のサッカーは、まず走ることが重要であるからだ。
これは今まで何度も書いてきたし、ナビスコ鹿島戦の第1戦や21節大分戦で明らか。
しかし、代表組のコンディションが整わないことで、中心選手が走りきれない。という事態が続いたことで、敗戦を重ねてしまった。
それと、ペトロヴィッチの異様なまでのレギュラーメンバーへの信頼というか、起用し続ける拘りも災いした。
どんどん疲れはたまり、負けることで蓄積されていくばかりだった。
もっと思い切って休めることができたなら、今頃チャンスをもらった選手がもっともっと台頭して、チームは活性化されていたと思う。
次節浦和戦も、もう今シーズンのテーマとなっている、【代表選手が直前に合流し、コンディションもごまかしながら。準備もままならない】上での戦いになる。
代表選手は、代表に呼ばれるだけあって個人能力は高い。変えたくない監督の気持ちもわかる。
確かにベストコンディションが整えば、彼らがゲームに出場すべきだと思う。
しかし、広島のサッカーは、まず走らないといけない。
どんな個人能力よりも、とくに中盤は運動量こそが必要なんだ。
だから、僕はコンディションを優先させて選手をピッチに立たせるべきだと思う。
土曜日のトレーニングマッチでは、一誠が好調を続けていることを見せつけ、平繁も一時期のキレが戻ってきているように見えた。
浩司もポジションの危機を少なからず感じているのであろう、もう復帰した。
代表選手の疲労と、彼らのモチベーションとを比較して起用するならば、僕は後者の一誠や浩司を選ぶだろう。
チームの総合力が低いため代表選手に依存してきたが、そのチーム力が低い現状を作ったのは、控え選手にチャンスを与えなかったペトロヴィッチだともいえる。
ペトロヴィッチに今望むことは、戦術的なことではない。サッカーを否定するつもりはまったくない。
チームにより貢献できる選手をピッチに立たせてほしいということだ。