パーフェクトなゲームだった。
試合前、浩司とアオの欠場を知った時、とても難しいゲームになることが予想された。
だがこのゲームの勝因は、桑田、ハンジェ、一誠らの新しく入った選手の活躍だった。
「やる気満々だったので、とくに声はかけなかった」と戸田が話したこの3人は、今まで出場機会に恵まれなかった悔しい想いをぶつけ、自分たちの価値を見せ付けてくれたと思う。
「ベストの布陣で臨んだ」と言い切ったペトロヴィッチの信頼にしっかり応えてくれたことが、このゲームの一番の勝因だった。
ペトロヴィッチはレギュラー陣に絶大な信頼を置き、ベンチ要因の組み分けをはっきりしてきたが、これで1つ風穴が開くんじゃないうだろうか。
「非常にいいプレーをした」(戸田)。「最後の最後まで走ってくれて、活性化させてくれた」(カズ)「新しく入った彼らの違った良さが出せた」(寿人)。
みんなが賞賛の言葉を並べ評価した。
陽介、アオ、浩司の心中は複雑だろう。認めるしかない素晴らしいサッカーを目の当たりにしたのだ。
「危機感だとかが生まれて、いい競争が生まれると思う」とハンジェは自信を持って話してくれたが、この日の彼らにペトロヴィッチはしかっりと応えてあげてほしいし、ハンジェ、桑田、一誠には、チャンスをモノにしてほしいと思う。
そして、陽介、アオ、浩司の奮起にももちろん期待したい。
彼らのプレーを見ていて、広島に足りないものが何だったのか、浮き彫りになった。
やはり、走ることなのだ。
桑田やハンジェは、2トップを後ろからサポートするだけじゃなく、追い越していくことで、2トップのマークも緩くなり、余裕が生まれていた。
またディフェンス面でも、激しさが中盤のゾーンであったことで、最終ラインの負担がとても少なかった。
高い位置でボールを奪うという、いい攻撃につながる守備も、僕は久しぶりに見たような気がする。
陽介やアオは、確かにテクニックに優れ、アクセントをつけたりと違いを生み出せる選手で、浩司も(めっきり影を潜めているが)ゴールを奪う力がある選手。
しかし、そんなことよりも何よりも、やっぱり走ってなんぼなんだ。
彼らは疲れの影響もあって、この日の3人と比べると走れていなかった。
広島には、強烈な2トップがいる。この2人と駒野と服部の両サイドという武器を生かすためには、中盤でのハードワークと運動量がなければならないことがよくわかった。
それにしてもだ。一誠の今日のパフォーマンスは一体なんなんだろう。なんであの実力がありながら今までベンチに座っていたのだろう。
まあ、素晴らしいプレーをしてくれたのだから文句をつけたくはないが、少し腹立たしくもあるよ。やっと、やっとだから。
どこまで信じていいのかわからないが、ほんとこの機会に高く高く評価されてきたその実力を、継続してだしてもらいたい。
そして、今季2度目の零封。初の完封勝利だ。
今日の3バックは完璧だった。
槙野は、珍しくペトロヴィッチが個人名を挙げて褒めるほど素晴らしいプレーをしていた。高松に仕事をさせず、攻撃参加しPA内にドリブルで向かっていく。
ああいう姿勢がチームに活力を生むんだ。
槙野の価値は単なるディフェンダーとして以上に大きいと思う。
それはもちろん試合後のパフォーマンスを含めても。
今日は、みんな良かったと思う。
その中でも僕は、カズがカズの力を見せてくれたことが何よりうれしい。
今日はまったく危なげなく90分間を守り抜いただけでなく、攻撃にも関与してくれた。
2点目を演出した寿人へのロングフィードこそが、カズがあそこのポジションにいる意味なのだ。
「サポーターは見捨てず励ましてくれた。今日は一番サポーターに感謝したい日」
カズにとっては忘れられない日になっただろう。
ほんと、ほんと良かったよ。
これからも継続してカズらしさをどんどん出していってほしい。
「俺たちの誇り」だからね。
最後に寿人へ。
鬼気迫るものを感じた。やはり前節柏戦での敗戦は相当に堪えたのだろう。
1点目もそういう気持ちがあったからこそ、足が伸び公太の前に落ちたのだ。
ゴールこそなかったが、寿人は最大限チームに貢献し、勝利を導いてくれた。
ウェズレイと寿人のパフォーマンスを見れる。
ビックアーチに最高の幸福を届けてくれた。
このゲームは、たくさんの好材料を手にすることのできたゲームだった。
補強したストヤノフも出場していいパフォーマンスを見せてくれた。
やっぱり落ち着きがぜんぜん違う。頼もしい存在になってくれそうだ。
若手が活躍し、完封して、連敗を断ち切った。また自信を取り戻すことができる。
これからまた上を向いて進んでいけるのだ。