J1 34節 vs清水エスパルス
明るい未来へ向かって
アジア大会に青山と俊介を連れさられ、ウェズレイは帰国せず、戸田が戻ってきたとはいえ、ダバツ、上野、大木、中里、高柳をケガで欠くという非常事態で臨まなくてはならなかった舞台は、超鬼門となっている日本平だ。
ここまで起伏にとんだシーズンを戦いながらも残留を決め、ようやく5連勝を成し遂げるまでに成長し最終節を迎えたチームに、これまた、いままでとは少し違う種類の試練が、広島に、ペトロヴィッチに、つきつけられた。
6連勝を飾りシーズンを締めくくる力がお前らにあるのか。お前らの力は本物なのか。
と、サッカーの神様にでも試されているかのようなゲームに思えた。
「このゲームに勝てるなら、入賞圏内の7位という順位を与えてやってもいいぞ」
という声が、どこからか聞こえてくるようだ。
見せてほしかった。こんなちゃっちい試練ぐらい、吹っ飛ばしてほしいと思っていた。
今の広島ならできると思っていた。
なのに、サッカーの神様(?)はもっと酷いヤツだった。これだけでは足りなかったらしい。
いい解釈をすれば、今の広島の力では、このぐらいの試練ではぬるかったと思ったのだろう。
戸田を退場に追い込みやがった。
残念ながら、ここまでやられては勝てなかった。
最後は手も足も出ないところまで、追い詰められてしまった。完敗だった。
確かに、ここまでの逆境をも吹き飛ばす強さは、今の広島にはなかったと認めざるえない。
だが、今の、だ。来年を、これからを見てやがれ。サッカーの神様のバカ野郎め。
こんな負け惜しみを言いたくなるような、悔しさがにじむゲームだった。
柏木、浩司と立て続けに迎えた決定機を決めることができていたらという点。
CKから先制点を奪われてしまったという点。
戸田の状況判断を誤ったプレー。
ミスからやられた失点。
清水が広島より強かったと思えない。自滅してしまった、運が悪かった。やはりジンクスはジンクスと言われるだけあって、存在していた。
と言うしかないゲームだった。
今シーズン初先発となった桑田は、序盤は攻撃の起点となりチャンスを演出していた。
ハンジェも1ボランチを無難にこなしていた。
選手層も厚くなり、誰が出ても広島のサッカーをできることを見せてくれたと思う。
10人での戦いを強いられても、怖がることなく前へ前へと進む姿は、チーム内に芽生えた自信をしっかりと感じさせてくれた。
5連勝がフロックでなかったことは、上位の清水相手にじゅうぶん証明した。
「広島は、強くなった。いいサッカーをしている」
と、言われる資格はあると思う。
ただ、こういう試練、不運が訪れたときでも、結果を残せるチームにならなければこれ以上、上にはいけない。
ケガ人は言い訳にならない。不運な判定なんてものもサッカーのうち。
長いシーズン、いろんな壁が待ち受けている。
それを乗り越えてこそ、真の強いチームへなれるんだと思う。
ペトロヴィッチが指揮する広島は、強いチームへなるための基礎は、できたと思う。スタートラインに立つ資格は掴み取ったと思う。
だが、これからがまた難しいんだろう。
選手だけ乗り越えることが出来ない壁があれば、監督がどうにもできない壁もある。フロントもしかりだ。
誰かが立ち止まっているわけにはいかないし、それぞれが別の方向に走っていってはダメだ。
一歩ずつでも、同じ方向に、みんなで進んでいかなければ、あっという間にその道は暗闇となり、またいちからスタートライン探しを始めなくてはいけなくなる。
このゲームは、これからの課題を突きつけてくれたゲームだった。
そういう意味では、来シーズンに向けていい意味のゲームになったのかなとも思う。
次週の天皇杯、相手はG大阪。まったく不足のない相手だ。
ちょうどいいじゃないか。
見せてくれ!明るい未来へ向かっている、という確かな姿を。