ゴールを奪うにはあの形しかなかった。
寿人にシュートチャンスがこぼれてくるか、セットプレーをものにするか。福岡も同じだった。攻めてはいるが、雨の影響もあり最後の精度が上がらない。
両チームとも、ゴールが生まれるとすれば、ミスからか、偶発的なものか、セットプレーしかなかった。
後半は福岡の圧力に押し込まれ、一方的な展開だった。ほとんどの時間を、守備に追われた。
ただ、望月監督は予想した展開だったようだし、今の戦術で4ゲームを戦い、勝利を手にした選手たちは、高い集中力を保ち、明確になった役割を、みんなが理解し自信を持って、最後までプレーしてくれた。
広島が福岡を上回ったもの、勝てた理由は、気持ちと個の力の差だ。
1つも勝てず、最下位に沈み、監督も替わった。危機感は明らかに福岡の選手より強く、望月監督が提示したサッカーを、みんなが理解し、ひとつのチームになれた。そして、前節の勝利により自信を得てこのゲームに挑めた。まったく迷いがなかった。
もうひとつは、このゲームを『決めた』駒野と下田の存在。両選手とも広島が誇る日本を代表するタレントだ。
福岡はチームとして、決定的チャンスの数など、広島より上回った部分は多い。だが、最後のパス、シュートというゲームを『決める』という、個の力でしかどうしようもない部分で、広島に劣ってしまった。
ゼロに抑えるということを成し遂げた下田。1発で結果を出した駒野。彼らの存在は、広島の宝だ。
望月監督が指揮を執ってから、リーグ戦2勝1分1敗で、勝ち点7を得た。順位も降格圏内を脱出し、15位。素晴らしい成績だ。
初采配となった望月監督は、このどん底のチーム状況が返ってやりやすかったかもしれない。このような守備的な戦術を選択するのは当然で、選手たちも結果を得るため受け入れた。
分かりやすい戦術を用いて迷いをなくし、そして、「気持ちで戦うんだ、全員で戦うんだ」ということを徹底させた。
ピンチヒッターとして最高の采配だ。チームをひとつの方向に向かせ、一番欲しい結果を出してくれた。
中断以降は新指揮官がやってくるだろう。しかし、どんなサッカーをするにせよ、今の気持ちを選手たちには持ち続けて欲しいと思う。
どんな監督がやってきて、どんなサッカーを目指し、それが機能するのかはまったく不明だ。勝ち点40まで辿り着くには、まだまだ厳しく長い戦いが続く。決して降格の不安を拭い去れたわけではない。森崎兄弟、俊介らが、チームに入れていないのも気になる。
しかし、一誠がやっと彼の実力の片鱗を見せてくれた。戸田がチームの中心として機能するようになった。そして、寿人、駒野、下田がいる。
やっと真っ暗だった広島に明るい光がさしてきた。
ホーム初勝利。本当に長かった、つらかった。その分喜び数万倍。素直に嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。雨でも何でも嬉しい。勝つって、連勝って最高に気持ちいいです。
選手、クラブ、サポーター全体が、ポジティブな気持ちで中断期間を過ごせるようになって本当によかった。
寿人、駒野、W杯がんばってこい。と言うかジーコ。寿人をドイツに連れてけよ。