このゲームでもし負けるようなことがあれば、大変なことになる。監督交替という、いわば最終手段を使ったわけだから、絶対に勝たなくてはいけない。しかも相手は、広島と全く同じ状況のC大阪。そして、ここはビックアーチ、ホームゲームなのだから。
どうしても不安の方が大きくなる。緊張感が高まる。スタメンを見ると、3トップ?盛田?浩司ベンチじゃん!なぜ?本当に大丈夫なのだろうか。不安を拭えない。
緊張のキックオフ。さぁ決戦が始まるぞと思ったのと同時に、寿人がゴールネットを揺らした。歓喜爆発。ほっとした、見放されていた神様という存在に感謝した。
広島のクラブ全体が、気持ちという面で、相手より上回っていた結果のゴールだったと思う。監督交替によるメリットが出て、選手達の危機感が伝わってきたし、勝たなければという気持ちは、相手に勝っていた。よく戦えていたと思う。
ハーフタイムを始めてリードして迎えるという状況は、とてもポジティブなもので、いい雰囲気で迎えられたのではないだろうか。
僕達もリードしての初めてのハーフタイム。「初勝利はいつも雨なんだよ」と先輩サポーターに教えられながら、ゲーム開始前の不安はほとんどなくなり、勝利への手応えを感じていた。
ただ、どう考えてもこのまま逃げ切れるとは思えない。次の1点を取れないと勝てないと思っていた。
後半は、相手が前がかりになってくるのは分かっていたはずだ。ただ、広島はそうさせまいとするのではなくて、それを受け止めて、あわよくばカウンターからもう1点という戦略を立てたんだと思う。
この戦略(メンタル)は、C大阪にとってありがたかったはず。ゴール前まで進入できる回数を多く与えてもらえる。その中の1つを決めればいい。
結局、有効なカウンターを出す間もないまま、同点ゴールを許してしまった。ただ、40分ある。ここからが勝負だ。もともと1点は神様のプレゼントだ。チーム全体でリスクを犯してでも勝負に行くのか、犯さないのか。
望月監督は、チームは、後者を選択したように思った。もともと、ゲーム開始前のプランから、リスクを犯すという戦略は考えていなかったのだろう。
ウェズレイは、再三強引にシュートを放つも、ネットを揺らせない。公太のシュートは、枠を僅かにそれる。駒野のクロスは、寿人の頭上を通りすぎた。
負けなくてよかった、という気持ちと、勝てるゲームだった、という気持ちが同居した、複雑なタイムアップの笛だった。両チームにとって、最悪の事態は避けたが、目の前が明るくなったわけではない。お互い、相手に救われた感がある。
初采配となった望月監督は、当然だが、守備に重点を置いてきた。ラインを深く敷き、サイドも低い位置をとって、裏をとられるのは避けようという意識は強かった。ある程度成功していたと思う。
攻撃に関しては、個の力で、どうにかしてくれといった感じ。ウェズレイの起用は、彼1人でゴールを奪う力があるからだろう。両サイドから分厚く、高い位置でボールを奪って速く、といった今までのコンセプトよりも、とにかく守備に意識がいっていた。
見ていて面白いとは言えないサッカー、勝ち点にこだわったサッカーだった。勝点1を得たともいえるが、またしても、勝ち点3を得られなかったという思い方が僕は強い。
ベンチメンバーに純粋なFWが入っていなかった事はとても残念だった。思い切って劇的に状況を変えるチャンスでもあったと思うのだが、ギャンブルに踏み出せず、堅実な方法を選択したのは残念だ。
リスクを犯してでも、勇気を持った采配、プレーをしなければ、この流れは変わらないのではないだろうか。チームがリスクを共有することが出来れば、乗り越えることはできると思う。
実際現場に立つと、なかなか難しいことなのはよく分かる。指揮官の勇気を持った決断を期待したい。
ここからは4連戦になる。僕は返っていい事なんじゃないかと思う。深く考える時間もなく、やるしかない。いまさらサッカーは大きく変わらない。戦うしかない、信じるしかないんだ。
勇気ある決断。助け合う心。絶対勝つという執念。これは最低限必要なものであり、みんなが共有しなければいけない。